宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

長男の2分の1成人式

【17日に書いています】


 2月16日は盛りだくさんの一日。最初のメニューは、長男の小学校の学校公開日。今は1日中学校を公開していて、どの時間に来てどの授業を見てもいいようになってる学校が多いみたいですね。前の学校もそうでした。
 で、今日は普通の授業だけでなく、そのうちの1コマが2分の1成人式というイベントでした。
 小4と言えば、みんなが10歳になる学年。その最後の時期に、20歳の半分ということで2分の1成人式というのをやるのが、このところ広がっているようです。僕も全然知らなかったんですが、ちょっと調べると少なくとも数年前から、ウチみたいな普通の公立小学校も含めて、結構全国的にやってみるみたいですね。
 一般的にはどんなものなのかは、以下のベネッセのサイトを見るとある程度わかります。


http://benesse.jp/blog/20130117/p2.html
 

 検索すると上位にこのベネッセのページが出てくるあたりに、少子化時代を生き延びるために教育産業が企画したビジネスのにおいが若干しますが、実際には、どこからどう始まって、広がってきたのか、調べてないのでわかりません。
 ウチの子が行ってる学校の場合、数週間前に、親から子供へ、10歳を迎えるにあたっての手紙を書くように言われ、事前に提出しました。
 で、それを読んだ子供たちが、今度は2分の1成人式でみんなの前で読み上げる「10歳の決意」という作文を書きます。
 式は総合学習だったか国語だったかの1コマ分の授業という位置づけで、学年全体とかではなく1クラスごとに多目的室で45分で行われました。
 中身は、まず一人一人が順番に前に出て、クラスメイトと保護者に向かって「10歳の決意」を読み上げていきます。時間の大半はこれに費やされ、その後、合唱があって、先生から一人一人に賞状が渡されておしまい、いたって素朴なイベントでした。特にこれのために用意された教材とかに頼ってる様子はなく、好感のもてるものでした。



 オクサンは風邪がすっきり治っていなくて、咳が出だすと止まらない状態でしたし、三男が45分静かに聞いてられないのは目に見えてたので、僕だけが参加してきました。


 で、まず何が驚いたって、まー、一人一人の「10歳の決意」のしっかりしてること。
 将来の夢と、今までの親への感謝という二つの要素を入れるようになってたんですが、将来の夢がみんなすごく具体的。ウチの長男の、古生物学者になりたいので、北海道大学に一発で(原文ママ)合格して、北大付属の博物館で働きたい、っていう夢が、特に目立たないレベルなんですよね。
 しかもそれを、例えば絵本作家になりたいって子は、自分がそういう風に思えるようになったのは、お父さんお母さんが小さいころからたくさん絵本や物語に触れさせてくれたから、っていう風に親への感謝につなげて言える子も多数なのです。
 そしてまた、それをちゃんと前を向いて、しっかり読み上げる子がほとんどだったので、たまに、照れくさそうに体グニャグニャしながら読む子が出てくるとかえってホッとしたり。
 この子たち、ほんとにのび太と同い年なのか?ていうか、このクラスだったら中2で「鈴木裁判」くらいの議論はできるだろうなあ、みたいなことを思ったのでした。


 そしてもう一つ驚いたのは、読み上げている間に感極まって泣き出す子が35人学級で4人もいて、うち3人が男子だったってことでした。自分が小4の時に男子が泣く理由なんて、怒られたか、負けたか、どっか痛いかくらいしかなかった気が(笑)。そもそも理由はともあれ男子が人前で泣くってことに、恥ずかしさを覚えるっていう文化があったはずなんですが、今はもう、男女問わず、感動して泣くのはイイね!っていう文化が小学校にまで浸透してるってことなのかなと思いました。
 司会をしていた、いかにもクラスで一番さわやかな子って感じの男子が、自分の番になって、話が親への感謝になったとき、ぐわっと涙がこみ上げてきて「ううううっ」ってなりながら頑張って読み続けてるのを見たときは、すごいびっくりして、これ自分が親になる前だったらドン引きだわって思ったんですが、全然芝居がかった感じがなかったのもあって、そしてもう、この子と親の歩んできた10年とかに思いをはせられる程度の子育て想像力を身に着けてしまっている状態では、普通につられてうるうるしてしまうのでした(笑)。
 その後も、ちょうどいい感じに数人おきに泣く子がいるもんだから、保護者のみなさんのもらい泣き率もどんどん上がり、その上、全員が決意を読み上げた後に、キロロの「未来へ」を合唱というベタな展開に、最終的には大半の親が涙ぐんだりすすり泣いたりしてるっていう感動の渦状態。
 体の半分ではその渦にシンクロして感動しつつ、残りの半分は、何これ?めっちゃいろいろ考えさせられるんだけど?って思ってる、っていう稀有な体験をさせてもらいました。
 

 なんか、こうやって読むと、やっぱり引いた目ではちょっとカルトっぽいって思われるかもしれませんが、キロロの合唱は、先生のピアノ伴奏とかじゃなくて、CDラジカセで先生がポチッとするっていうカジュアル感、そして最初にポチッとして流れたのがカラオケバージョンじゃなくてボーカル入りバージョンだったので、先生があわてて止めて、「今のは聞かなかったことに!」って言ってやり直す笑えるくだりもあったりして、トータルで見ると手作り感が強くて、いいイベントだなと思いました。


 合唱の後、最後に、クラスメイトがそれぞれお互いのいいところを書いたアンケートを基に、「サッカーが得意で、いつも明るいみんなの人気者で賞」的な賞状をくれるところも、それぞれちょっとくすっとできるところがあって、よかったです。ちなみに長男のは、「誠実に謝り、優しくて何でも知ってる物知り博士で賞」でした。物知り博士とかは想定の範囲でしたが、「誠実に謝り」って(笑)。クラスではうちの子が五十音順で最後なので、式の一番最後がそれだったのも、笑って終われることになってよかったです。