宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

『江口寿史 KING OF POP Side B』刊行されました!

 2015年10月から16年2月にかけて明治大学米沢嘉博記念図書館で開かれた「江口寿史展 KING OF POP Side B」(写真撮影フリーだった展示の感想ツイートのまとめはこちら。 http://togetter.com/li/886025 )を書籍化した『江口寿史 KING OF POP Side B』が、10月25日、青土社から発売になりました!

江口寿史 KING OF POP Side B

江口寿史 KING OF POP Side B

 展示のキュレーションをさせてもらった私が、そのまま編者をさせていただいて、コンパクトな展示空間に頭おかしいんじゃないかってくらいギチギチに詰め込んだ高密度展示を、その高密度感のまま、A5判144ページのコンパクトな本の中に再現した本になっております。

小・中学時代の落書きノート、デビュー当時のマンガから「パイレーツ」「ひばりくん」などの貴重な原画に加え、初出誌や関連資料を多く用いて、それぞれの仕事が置かれた時代の文脈を明らかにする。マンガ家・江口寿史の軌跡をたどる、ファン必読の一冊。


【目次】

第1章 それは『ジャンプ』からはじまった
第2章 ひばりくんと白いワニ
第3章 時代の気分を<編集>する
第4章 This is Rock! 音楽と江口寿史

おまけ 江口寿史による江口寿史年代記

 とんぼの本シリーズやふくろうの本シリーズのように、この種のコンパクトなオールカラーのビジュアル本はたくさん先例がありますが、この高密度ぶりはちょっと見たことがないのではと思います。
 私が全ページ、インデザインで、各ページにどの図版とどの解説テキストがそれぞれどういう大きさ・位置で入るかレイアウトしたものをもとに、デザイナーの川名潤さんが、「こ、これがデザイナーの…力…っ!」と驚かされる仕事ぶりで、これぞまさに「ポップ」というべき本に仕上げてくれました。
 表紙は江口さんが、この本の内容にふさわしいイラストって結局どんなんだ…?っていう難問に、「3頭身じゃない先ちゃん」という見事な解答を出してくださいました。そう、全部この人が生み出してきたものなんです。
 まえがきで江口さんも書かれてるんですが、「パイレーツ」や「ひばりくん」直撃世代は「その後」の仕事をフォローできていないことが多く、また逆に近年のイラスト仕事で江口さんを知った若い世代はマンガ家江口寿史のすごさを知らないという状況がある中、デビュー前から今日に至る、江口さんの仕事の歩みをたどることのできるガイドブックになっているのではないかと思います。
 基本的には仕事を歴史順にたどっているのですが、4章は音楽との関わりという切り口で江口さんの仕事を通覧しなおすということをしていて、江口さんのディープなファンのみなさんにも楽しんでいただけるのではないかと思っています。
 去年出た画集と今年の初めに出たユリイカの総特集江口寿史と合わせて読んで・見て・いただければ、江口寿史の仕事の広がりとその意味が、ほぼ見渡せると思います。


 刊行を記念してたくさんのサイン会、そして私も登壇するトークイベントなどが用意されています。
 青土社のサイトにイベント情報のまとめページがありますので、そちらをチェックしていただければと思います。


http://www.seidosha.co.jp/topics/index.php?id=52&year=2016


 また、アマゾンで買いたくないよーという方は青土社のサイトから各ネット書店へのリンクがまとめられています。


http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=2979


 担当編集者の(F)さんは、微に入り細にわたる校閲作業を粘り強く行うと同時に、江口さんの原稿を待つという高難度なタスク(笑)をこなしてくださいましたし、デザイナーの川名さんは上でも触れたように煩雑極まる作業を見事に遂行してくださいました。そして江口さんは、私の作業に一切口出しせず、素晴らしい表紙と(編者にとっては)感動的なまえがきをくださいました。


 …てことは、これでこの本売れなかったら完全に俺の責任じゃん…!ってこないだ気付いて膝ガクガクしたんですが、今はもう俎板の上の鯉の心境で、みなさんのご感想を待つばかりです。とりあえず、手に取ってぱらぱら見てもらえればありがたいです!
 よろしくお願いします!