さて今度は
鷲谷花(id:hanak53)さんの「TOO LATE THE HERO」です。なつ漫好きのみなさんの間ではよく知られていると思われる古沢日出夫ですが、「冒険ゴット」となると、どうなんでしょうか。こういう作品に注目して、「戦時期のヒーロー」とも「占領期のヒーロー」とも異なる、「戦後のヒーロー」像の模索とその(誠実なる)挫折を描き出して見せるあたり、さすがです。僭越ながら、僕の松下井知夫論「見えることと見えないこと」(『新現実』Vol.2)と併読していただければ幸いであります、と申しておきます。松下もまた、戦時期から占領期を経て「戦後」へとわたっていく中で、マンガを描き続けることの困難と全身で向き合った作家でした。
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『日本アニメーションの力』でも『アニメーション学入門』でもそうですが、津堅さんの書き方は、まず総論を押さえてから各論に入る、という手順になっています。そのオーソドックスさは、今のマンガ論やアニメ論の中では結構貴重なものだと思うんですが、今回のような短い論考では、まず一つの具体例の細部にぐいっと食い入って、各論から総論へと文脈を広げていくような書き方も試されてみるといいと思うんですよね。津堅さんにはこれからもっとがんばっていただきたいので、あえて蜀を望むようなことを書いてみました。
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