宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

「武富健治の世界」展、展示準備本格化

 武富健治展の準備、これまでに2回ご自宅にお邪魔して、どのような資料群があるのかお見せいただき、展示の構成案がおおよそできたので、昨日、3回目のご自宅訪問で、展示する作品・資料をお借りしてきました。
 今回、武富さんには、通常、現役の漫画家さんの展覧会ではありえないような全面的なご協力をいただき、プロデビュー後の原画やネームノート、プロットのメモ等だけでなく、小学生時代からの膨大な作品・資料群をほぼ全てお見せいただき、どれでも展示してもらっていいとのお言葉をいただいています。
 また「多めにがさっと持ってって、館で選んでくれていいです」とのお言葉もいただいたので、お言葉に甘えて、どんな規模の展覧会だよっていうレベルの量の資料をお借りしてきています(あ、プロデビュー後の作品の原画などは、事前に絞り込んで選ばせてもらったものだけお借りしています)。
 で、雑然とした一枚ものの資料も多いので、今日から館でそれらを整理し直し、リスト化する作業に入っているわけです。


 ほんとに、びっくりするぐらい物持ちがいいというか、網羅的に保存されてるんですよ。小・中学校時代に武富さんと同じくイニシャルが「K.T」になる田中宏治さんとのユニット「K.T」名義で作られてる膨大な豆本漫画とかから、高校・大学時代の漫画研究会時代の作品、同人誌、設定資料ノートや、キャラクターのラフや、イラストの原画、当時読まれていた小説や漫画、LPレコード、レーザーディスク等々。
 そこで今回、展示の大きな柱として、これらの資料を可能な限り沢山詰め込んで、極めて詳細・克明に、一人の漫画少年が、多感な漫画青年になり、長い苦悩の時代を経て、プロの漫画家として成功するまでの過程をひも解くことのできるコーナーを構成したいと思っています。


 例えばこちら。



 これ、どこの家にもあるおかきやせんべいのカンカンに詰め込まれていた、「K.T」名義の作品群を、タイトルごとに仕分けしてテーブルに並べてみたところなんですね。長く続いたタイトルについては10冊以上積んでます。上の方の列のは田中さんの作品ですが、小・中学校時代の豆本だけでこの点数ですよ。
 武富さんの公式ホームページの旧サイトには、めちゃめちゃ詳細な自作解説(↓こちら)


http://www.oxna.net/itiranmasuter.html


 が載っていますが、今日ざっと大学入学までのものに目を通させていただいた限りでも、その自作解説に載ってない作品がいくつもあります。
 もちろん全部をお見せすることはできませんが、この圧倒的な質量が背後にあることは、きっと展示としての説得力をもたらしてくれると思います。とりあえず、カンカンに入ってたもので個別にお見せできないものは、全部カンカンに入ってた状態で展示したいと思います。
 大学の授業は20日に始まってしまうこともあり、急ピッチで準備を進めなければなりません。ここまでご協力いただいた以上、いい展覧会にしないわけにはいかないので、全力で取り組んでいきたいと思います。
 随時進捗状況をご報告していきますので、ご注目いただければと思います!