宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

映画化までは逝けないぜ!「鈴木先生」のDVDを買おう!

 バタバタしていて書けずにいましたが、ドラマ版「鈴木先生」、見事に最終回まで駆け抜けてくれましたね。
 ネット上には熱心なファンの皆さんの感想がほんとにたくさんあって、僕の言いたいこともほとんどすでに出尽くしているので、改めてここがよかったあそこがよかったってのは書きませんが、あのタイミングで「逝ってもいいぜ!」を持ってきたのは、ほんとに、おおお!という感じでした。
 まるで「答え合わせ」のように事細かに原作と照らし合わせてドラマ版を批判するような議論もありますけど、重要なポイントはしっかり押さえられていたのではないかと僕は思っています。


 ひとつだけ、僕が一瞬引っかかって、でもこれでいいのかな、と思ったところについて言っておきます。


 「鈴木裁判」編で一応の最終回を迎えるということで、原作にない、2Aみんなで鈴木先生を祝福するというエンディングになったわけですが、あそこは、裁判の結論を保留にするという、本当にみんながよく考え、これからも考え続けるという意志を示した、すばらしい「とりあえずの結論」からすると、みんなで祝福しちゃったらそれ結局無罪で一致ってことになっちゃうのでは?という疑問もありうるかと思います。
 保留にしたということは、「(様々な観点から)有罪」「先生だから有罪」「鈴木先生だから有罪」のどれかから、まだ完全には離れられない生徒もいるってことだと思うんです。
 だとすれば、すなおに「おめでとう」とは言えない子もいるんじゃないか、という気もしてしまうわけです。
 裁判は、まず、妊娠させたのは正式につき合っている相手なのか、この後結婚するのか、という事実確認から始まっています。その過程でできちゃった婚の是非も議論されています。一方で、婚前交渉や避妊の是非も、議論されています。 つまり、生徒たちそれぞれ「引っかかる」ポイントは違うわけで、全ての論点を網羅して、有罪であるとすればどのような点においてか、という複雑な議論をしているわけです。
 議論の展開の中で、でき婚が常に悪いというわけではない、というところまでは共有できているとも取れますが、まだ納得しきれない子もいる、ということを踏まえての、最終的な保留だったかもしれない。


 でも一方で、どういう経緯で結婚、出産に至ったかというプロセスの是非と、結婚、出産するということ自体とは、分けて考えるということも可能でしょう。ある人間が取ったひとつながりの行動に対して、途中のこの部分はよくなかったけど、最後、こうできたのはよかったよね、という評価は可能なわけで、今回の場合も、結婚と奥さんのご懐妊それ自体は、切り離して祝福していいのだ、という考え方も可能です。
 2Aの子たちは、裁判に対する結論を性急に全員一致のところまで持っていくのではなく、それぞれが納得いくまで保留にする、というところまで考えられる子たちだから、そのとき同時に、結婚・奥さん懐妊自体は、お祝いしていいよね、というところまでたどり着けた、ということなのかなと。
 そう考えると、あれはあれでありうる展開なのかな、と思いました。


 もともと、原作でも、3年生じゃなくて2年生のクラスにすることで、卒業式で涙涙のエンディングというパターンを回避するというのは一つのポイントになってるわけですし、みんながそれぞれ考え抜いて、全力でぶつかりあった後の解放感あふれる晴れやかな笑顔のエンディング、というのは、それ自体とっても「鈴木先生」らしい終わり方だったと思います。


 で、ですね。
 原作には、まだこの後、生徒会選挙編と「神の娘」編という、鈴木裁判編に匹敵する大きなエピソードがあるわけですよ。
 そしてドラマ版の「鈴木先生」製作委員会にはテレ東だけでなく、映画制作会社のアスミック・エースとROBOTも加わってるわけですよ。
 つまり、テレビ・ドラマ版の先に、映画版、というのが構想されてるわけです。
 だけど、思いがけない低視聴率が、映画版実現の大きなハードルになってるわけです。
 しかし、ドラマ評論などでの極めて高い評価、ネット上での反響の大きさ、等々から、このまま終わるのは惜しいという意見もたくさんあるわけです。
 そこで今、映画化に向けての希望は、DVD−BOXの売り上げにかかっているわけです。
 さすがにテレ東の公式ホームページには映画化のためにDVD買って下さい、とは書いてないわけですが、公式ツイッターアカウントの方では、はっきりそう書かれているわけです。
 もうアマゾンでの予約もできますし、東京のタワーレコードとTSUTAYAでは、発売記念イベントが合わせて三つ、企画されています。


http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/news/index.html


 首都圏在住の「鈴木先生」ファンのみなさんは、ぜひこうしたイベントに詰めかけて、映画化を後押ししましょう。僕もこないだ渋谷のタワレコに行ってDVD−BOX予約して、9月11日の渋谷タワレコでのイベント入場券を予約してきましたよ。
 上のページの下の方に載ってますが、これ以外にもアニメイト新星堂での予約にも特典が付くみたいです。


 14歳前後の役者さんたちの成長は早いです。あっという間に背が伸びたり声が変わったりします。2学期のエピソードを映画化するなら、もうあまり時間はないわけです。
 プロデューサーや脚本家のみなさんは、その時に向けてすでに準備を進めているようです。
 続編希望のみなさんは、DVD−BOX、あるいは「号外版」、あるいはその両方を予約、途中の回からしか見られていない、気になりつつ見ていないといったみなさんはBSジャパンでの再放送を視聴、ばんばんネットで感想書く、という形で応援していきましょう!


鈴木先生 完全版 DVD-BOX

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鈴木先生 特別価格版 ?2-A僕らのGo!Go!号外版?  [DVD]

鈴木先生 特別価格版 ?2-A僕らのGo!Go!号外版?  [DVD]


 BOXセットと号外版の違いについてはこちら。


http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/special/dvd/index.html


 あ、あと「spoon.」の「鈴木先生」特集も。すごく充実した特集ですよ。


spoon. (スプーン) 2011年 08月号 [雑誌]

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