見ました。素晴らしい。感想は後ほど。
つーことで感想を。
規模的にはそんなに大きくありません。展示解説文全部と短編全6作読んでも1時間以内で見られると思います。
しかし内容は濃密。「外」から見たときに奇異にも見える現代日本のおたく文化のイメージ・アイコンを特徴づける「美少女」造形のルーツの大きな一つとして、吾妻ひでおの仕事を位置づける、というコンセプトのもと、「美少女のロボット化」、「美少女の増殖」など、「美少女」イメージの「実験」を6つに分け、吾妻作品の原画、その系譜上に位置づけられるのちのマンガ・アニメ・ゲーム作品を、展示しています。その展示手法が素晴らしい。
いたって平凡とも言える、四辺の壁がガラスケースとなっている長方形の展示室ですが、結構奥行きのある壁の展示ケースの奥行きを利用して、展示平面を一番奥、間、手前の3層のレイヤー構造のように使っているのです。
一番手前に吾妻作品の原画とそのパロディのネタ元となった手塚治虫などの作品、少し奥まったところに、その直接間接の影響を受けたおたく系コンテンツ、そして一番奥に現在の秋葉原の実物大写真が壁一面に展開されています。
これによって、現在の日本のおたく文化の重層性が、文字通り重層的に表現されているわけです。
文章ではどうしてもわかりにくいと思いますので、キュレーターの森川嘉一郎さんによる写真をご覧ください。
展示解説も丁寧ですし、吾妻作品の自己批評性がよく表れた短編6作品が全ページ原画で展示されているのもすごい。
この展覧会に合わせて出版された『文藝別冊 吾妻ひでお』に寄せられた様々な作家の吾妻トリビューと作品の原画も展示されています。
そして、この展覧会のために描き下ろされたイラストの作画過程の一部始終を記録した映像もリピート上映されています(これ、上映時間もキャプションに記してくれるとなおよかったんですが)。パフュームのアルバムをかけながら、左手に持ったたばこを吸いながら黙々と描き続ける吾妻先生かっこいいです。
明治大学アカデミーコモンの地下1階にある明治大学博物館で、会期中無休、入場料無料で開かれていますので、ぜひみなさん、お越しください。
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-azuma.html
吾妻ひでお〈総特集〉---美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪(文藝別冊)
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あ、あと、上のリンク先にもありますが、米沢嘉博記念図書館では「吾妻ひでおマニアックス」の第4期展示もやってます。こっちは火・水・木休館ですので、お間違えなく。