宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

『現代の図書館』の「特集:図書館におけるまんがの行方」に寄稿

 しています。
 これはほんとに、時期遅れも甚だしいお知らせで、申し訳ないです。引っ越しのバタバタの時期だったので。
 日本図書館協会発行の季刊誌、『現代の図書館』vol.47 no.4「特集:図書館におけるまんがの行方」に、去年の春に国会図書館でさせていただいたお話をもとにした論文(というより現状のレビューみたいなものですが)「図書館等におけるマンガ掲載雑誌の保存−その意義、現状、課題」を書いています。
 全体の目次はこちら。


http://jlakc.seesaa.net/article/139678174.html


 これは、現時点では最も包括的な内容になっているのではないでしょうか。ご興味おありの方はぜひ。と言いつつ、ご興味のある方はとっくに読んでる気もしてきましたが。
 僕自身、この特集は勉強になりました。特に、高校図書館の司書の笠川昭治氏の「学校図書館とマンガ−図書館が苦手なマンガと上手につきあう方法」は、「学校図書館にマンガを入れるべきか否か」みたいな抽象論ではなく、著者自身の日々の具体的な実践に基づく話で、ほんとに面白かったです。
 特に最後に出てくる次のくだりには、ちょっとぐっと来てしまったので、引用してしまいます。

 ただ、何事にも例外はある。授業間の休み時間ごとに図書館にやってきて、一番奥の「人目につかない」場所でひっそりと過ごす生徒がいる。ほとんど毎時間くるくらいだから、図書館以外に居場所がないのかもしれない。そんな生徒が、ある日カウンターへやってきて、リクエストをしたとしたら、それがたとえ通常は保留するマンガであっても、図書館はそのマンガを直ちに購入しなければならないと思う。その生徒にとって、そのリクエストを図書館が購入することが何よりも重要だと考えるからだ。
 ここまで散々手順とか基準とか書いてきてなんだと思われるかもしれないが、これはフルタイム勤務してきて、常に生徒を見てきた学校図書館員が感じた「直感」なのである。
(笠川昭治「学校図書館とマンガ−図書館が苦手なマンガと上手につきあう方法」『現代の図書館』47巻4号、2009年、p.264)


 賛否両論あるかもしれませんが、僕は、こういう雑誌でこういう文章に出会えたことに驚き、また、うれしくなりました。こんなことは、なかなかないです。