宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

昨日は卒論発表会でした

 スケジュールは以下の通り。

文学部比較文化学科・宮本ゼミ卒論発表会

日時:1月30日(火)、2時限〜5時限。
場所:D−301教室
興味のある方はどなたでもご参加下さい。


10時40分〜11時10分: 宮崎將史
 野球マンガの魔球表現に関する研究

11時10分〜11時40分: 中屋志保
 「クチコミと広告の関係」について−『ビーズアップ』と「アットコスメ」を対象として−

11時40分〜12時10分: 和泉光
 ケータイ文化と若者のコミュニケーション

13時00分〜13時30分: 佐々木里英
 女性向け恋愛ゲーム市場の安定と拡大

13時30分〜14時00分: 大島郁弥
 2ちゃんねるはどこが新しいのか〜従来メディアとの比較・電車男を題材として

14時00分〜14時30分: 棚田智美
 マンガの絵における同一キャラクターのデフォルメのされ方の違いについて−なぜ、等身が変わるのか−

14時40分〜15時10分: 田中伸一
 オリジナル映画とリメイク映画の比較研究―『リング』と『ザ・リング』を比較して−

15時10分〜15時40分: 加来知代
 野比のび太論〜『ドラえもん』におけるのび太のもつ意味〜

15時40分〜16時10分: 田中希望
 「きもの」と称される衣服−ファッション雑誌に見られる平成の「きもの」は「サブカルチャー」か−

16時20分〜16時50分: 郄橋愛
 『水曜どうでしょう』はなぜ全国で知られるようになったのか

16時50分〜17時20分: 岡田奈緒
 イラスト投稿雑誌上で行なわれるコミュニケーションについて

 論文の内容の要旨と論文執筆の過程や3年生へのアドバイスを入れて20分発表、10分質疑、の繰り返しで朝から晩まで。実際には、残念ながら急な事情で欠席になり、発表できなかった学生が二人いたんですが、それでも全体として非常に充実した発表会になったと思います。
 3年生と4年生はもちろん、2年生の新ゼミ生も全員参加で総勢38名、さらにゼミ生以外の学生さんにも思った以上に聞きに来てもらって、質疑も活発に行なわれました。
 正直終わった後はへとへとでしたが、こういう疲れは、別にいいんです。ゼミ用掲示板への2年生の書き込みを見ても、ほんとにいいリアクションをしてくれていて、やってよかったなと思いました。
 それにしても、よくこんだけ自分の専門外のテーマの卒論を指導してるなと思いますが、僕はこのゼミでプロの研究者を育てているわけではなくて、学生たちが、自分で自分にとって考えずにはいられない問題を設定し、自分で資料を探り、参考になる文献を探して読みこなし、論文というフォーマルな形態の文章にまとめていく、という一連の作業を経験することで、世の中に出てからも何らかの形で活きてくる知恵とか批判力とかコミュニケーション能力を養うことが目的なので、極端な話、そのテーマについて僕は何一つ専門的な知識を持っていなくてもいいわけです。この、「何らかの形で」という漠然としたところが重要であって、特定の場面で特定の仕方でしか役に立たない類のスキルを提供するのは、文学部の主たる目標ではないのであります。
 指導教官の仕事は、その過程に1年かけて付き合うことで、他者と共に考えることで自分の言葉が思いがけない変化や広がりを持つようになりうるんだという面白さを、知ってもらうことだろうと思います。また、こういう発表会などを通じて、自分で問いを立てて自分で解いていく面白さが学生から学生へ伝わっていく機会を作っていくということだろうと思います。