宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

松本零士トークショーでした!

 まずは会場に到着された松本先生と、モザイクアートを制作したk.m.p.のメンバー(全員じゃないですが)に僕も混ぜてもらって記念撮影。



 その後リハーサルなどあって、ロビーの展示の様子をちょっと見せてもらったり。



 松本先生の代表作のカラーイラストのパネルと、漫画ミュージアムの告知のための、北九州ゆかりの作家さんの紹介パネルが並びます。



 あと、松本先生が普段お使いの画材が展示されていました。



 このライオンペンのペン先をご愛用で、もう製造中止なんだけど、製造中止になるときにごっそりお求めになったそうです。


 で、いよいよトークショー。事前申し込みは定員に達していたんですが、今日の小倉はあいにくの雨で、観客のみなさんの出足が心配でしたが、700名定員の会場は9割近く埋まっていたのではないかと思います。
 僕がパワポを用意して、図版をお見せしながら、「1、北九州との関わり」、「2、松本あきらから松本零士へ」、「3、創作のプロセス」、「4、両極をつなぐ」の大きく4つのパートに分けてお話をうかがいました。
 「1」では、都市の(明暗)のイメージと、九州方言へのこだわり、の二つの面から、最初の単行本であり、近未来の北九州が舞台になっている『宇宙作戦第一号』や、それからもちろん『男おいどん』などの作品についてうかがいました。
 「2」では絵柄と描線に注目してデビュー作の「蜜蜂の冒険」から「銀河鉄道999」まで、どのように松本零士のスタイルが出来上がってきたかを、4,5年おきに作品をピックアップしながらお話をいただきました。
 で、その流れで、では実際にどのようなプロセスで作画されているのか、用意させていただいたスケッチブックにその場で描いていただく、という形で見せていただきました。
 みなさんに絵のうまさを実感してもらい、どこからどう描いていかれるのか見てもらうために(というか僕も興味津々だったんですが)、鉄郎とメーテルの歩いているところを全身像で、とお願いしたところ、鉛筆の下書きからペン入れ、ベタ塗りまで、一部始終を見せてくださいました。
 手元をカメラマンさんに撮影してもらって、それをスクリーンに上映しながらだったので、何もない白い紙に、みるみるうちに線が、絵が、生まれてくる様子を堪能してもらえたと思います。
 描いていただきながら、僕が、「あ、鉄郎は帽子から描くんですね」とか、普段お使いの画材のこととか聞きながら、進めていたんですが、だんだん先生もノッてこられて、アマゾンでワニ狩りした時の話などされながら、どんどん描き進めていかれます。
 で、20分弱で出来上がったのがこちら。



 動きのある楽しい絵ですよね。すばらしい。よく見ると下書きの鉛筆の線は消しゴムかけてないので残ってます。
 大きさがいまいち伝わりませんが、スケブの大きさはA3くらいです。20分弱って聞くと長いと思われるかもしれませんが、話しながら下書きからベタまでですから、ナマで見ていると、むしろ早い早い。僕も普通にちょっと興奮しました。ベタは普段はアシスタントさんにお任せなので、「ベタ塗り自分でしたのなんて久しぶりですよ」なんておっしゃいながら、さっささっさ塗って行かれます。その塗り方も何か、かっこいいんですよね。
 で、最後「4」のとこは、古いものと新しいもの、大宇宙と大四畳半など、相いれなさそうな両極端のものを共存させたり融合させたりつなぎ合わせたりする松本世界にさらに切り込んでいく、つもりだったんですが、一応大宇宙と大四畳半のお話をうかがったあたりで、どんどん話はアフリカ探検に行かれた時の話や、アマゾンの話などへと展開、でも観客のみなさんにはウケてるし、先生もノッて話されてるので、ま、いっか、みたいな感じで僕も楽しく聞かせていただき、時間となったのでした。ほんとはメカと女性の話、沈黙の話なども、図版として用意してたんですが、それはまたの機会にということで。
 トーク終了後は、旭日小綬章を受勲されたお祝いの花束贈呈があり、福岡のアジアンビートのコスプレ大使、上村真奈美さんがメーテルにふんして花束を贈呈、という楽しい締めくくりでした。
 全部終わった後、舞台裏で、関係者の人が次々メーテル=上村さんと記念撮影してたので、どさくさにまぎれて僕も撮ってもらったんですが、自分のカメラじゃないので、あのデータはもらえるんでしょうか。てか誰に聞けばいいのかもよくわからないという。

 
 ま、それはいいんですけど、とにかく、非常に充実した、なおかつ全方位的に観客のみなさんに楽しんでいただけるイベントになったのではないかと思います。ツイッターで検索してみたら、思いのほか多くのツイートがなされていて、いずれも非常に楽しんでいただけたことが伝わるものでうれしかったです。
 僕自身、小学校の時に「ヤマト」、「999」直撃の世代なので、その松本先生と同じ壇上でお話しさせていただいているのは、何か不思議な感じで、もちろん幸せな時間でした。作画が始まってから後、てことは後半ほぼ全部、自分もお客さん状態で楽しませていただきました。
 快くライブでの作画を引き受けてくださった松本先生、イベントの準備、運営にあたられたスタッフのみなさん、それから観客のみなさん、ありがとうございました。
 元のイベント告知の文章も下に残しておきますね。