宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

2月6日、第2回北九州まんがフォーラム、大成功

 いやほんとに。会場も満員になる180名のお客様をお迎えすることができましたし、内容も、会場の反応も、大変よかったと思います。
 まず第1部のライブ・ドローイングは、ジャズ・ミュージシャンの井島正雄さんのベースに合わせて畑中純さんが大きな絵を描く、ということで、無言で筆をふるう畑中さんと井島さんのベースの真剣勝負、みたいなのを想像してたんですが、サービス精神旺盛、かつ井島さんとは中学時代の同級生という畑中さんが、マイクなしでも会場中に通る声で、あれこれおしゃべりしながら描いてくれるという、和やかな雰囲気で進行したのでした。


 描き終わった絵を掲げた状態で、ちょっとした対談も行われました。井島さんが畑中さんの高校に殴り込み(笑)に来たといったやんちゃ話とか。



 そして当初予定になかったのですが、長谷川法世さんもドローイングに参加してくださいました。



 そんなつもりじゃなったんだけど・・・と言いつつ、やっぱり軽妙なトークを交えながら、お祭りの中の女性をイメージしたちょっと抽象画風の鮮やかな絵を仕上げてくれました。



 そしてまたお二人のちょっとしたトーク。実はお二人はこの日が初対面とのことで、僕も驚いたんですが、そんなことを全く感じさせない息の合い方でした。
 こうして第1部が終了。人前で大きな絵をみるみる内に描いていくお二人に、会場のみなさんもすっかり牽き付けられている様子。この盛り上がりを持続させねば、とテンション上げて第2部の、お二人の対談を司会させてもらいました。
 お二人がドローイングの準備の方に集中されたこともあり、対談の方の打ち合わせは、一切なし(笑)。
 とはいえこちらも一応、それなりに場数は踏んできてますので、だいたいこんな感じで展開して、というイメージは作って、それに合わせて図版もスキャンして行ってました。
 で、冒頭で簡単に「九州のまんが力」とお二人の紹介を3分程度で(笑)という段取りになっていましたので、「のだめ」と「DMC」と「坂道のアポロン」の九州弁丸出しシーンをお見せして、なぜかみんな音楽が題材になっている最近のヒット作で、かくも九州弁が自在に飛び交っているそのルーツをたどっていくと、このお二人に行きつくのであります、というご紹介をさせてもらいました。


のだめカンタービレ(9) (KC KISS)

のだめカンタービレ(9) (KC KISS)

 千秋がのだめを説得に大川に行くとこですね。


デトロイト・メタル・シティ (1) (JETS COMICS (246))

デトロイト・メタル・シティ (1) (JETS COMICS (246))

 大分に帰省したらかあちゃんDMCのTシャツ着てたってとこです。


坂道のアポロン (1) (フラワーコミックス)

坂道のアポロン (1) (フラワーコミックス)

 ボンがセッションに参加する流れになるとこです。


 ここまでは順調だったんですが、いざお二人が登壇されると、講演慣れされてるお二人は僕の予想以上に手ごわく、簡単に言うと、僕が一言も話さなくても成り立ってしまう勢いで、どんどんお話が進んで行っちゃうのでした。
 おおお、これはこれで別に会場も盛り上がってるし、変に割って入らない方がいいのか?いや、待てよさっきから九州のマンガの話じゃなくて、単に九州の話になってないか?いや、でもこれもちゃんとネタ振りとして機能してるのかも・・・など思って内心焦ってたんですが、隙を見て(笑)、強引に用意して行った『COM』の「まんが予備校」における投稿者「はせがわほうせい」が、2位の青柳裕介、3位の岡田史子、4位の竹宮恵子を押さえて初年度の年間ランキング1位に輝いた記事などお見せした辺りから、多少強引に舵を握らせてもらいました。
 第1部が法世さんの飛び入りもあって時間が押していたため、ちょうど1時間ほどになっていたトークの時間はあっという間に終了しましたが、法世さんが、タモリ山下洋輔が呼び寄せた頃の「ジャックと豆の木」に行っていた話や、「博多っ子純情」を描いているうちに、次第に絵が「きれいに」なってきてしまい、それはそれで周りには評判がよかったのだけれど、自分としてはもっとある意味泥臭い絵じゃないとこの作品はだめなのだと思って、意識的に絵柄を戻したという話など、僕にとっても新鮮で興味深いお話もうかがえました。
 畑中さんはどちらかというと進行役的な立場で法世さんに話を振るのが主だったんですが、僕が好きな「まんだら屋の良太」の一場面をお見せした時など、どんな映画を参考にして描かれたかとか当時どんな評判だったかなど、やはり興味深いお話をうかがうことができました。


 そんなこんなで、このイベント、準備に当たられたみなさんの周到なご尽力のおかげで(今回僕は企画や準備には携わってません、自分の司会の準備をしただけです)、大変な成功だったと思います。僕も楽しかったです。
 で、許し難いことに、「博多っ子純情」も「まんだら屋良太」も版元品切れなので、オンデマンド販売のコミックパークにリンクしときます。

博多っ子純情 全34巻
http://www.comicpark.net/cm/comc/detail-bnew.asp?content_id=COMC_AFT00016
まんだら屋の良太 全53巻
http://www.comicpark.net/cm/comc/detail-bnew.asp?content_id=COMC_ASE00044


 最後に、新聞報道が二つ出てますので、リンクしておきます。
 まずは西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/75886
 お次は毎日新聞
http://mainichi.jp/area/fukuoka/archive/news/2009/02/08/20090208ddlk40040231000c.html
 西日本が第1部を、毎日が第2部を、と、たぶん偶然でしょうが、きれいに役割分担されていて、両方読むと全体像がかなり詳しく分かるかと。


 あ、あと、実はこのフォーラムの始まる前に、午後5時から、北九大と、同じ市内の西日本工業大学の学生さんに集まってもらって、漫画ミュージアム開館までの時期を盛り上げてくれる学生サポーター組織を立ち上げたい旨の説明会を小1時間やったりもしました。この組織がうまく回って行ってくれるかどうかは、結構このミュージアムにとって重要なことなので、僕も力を入れてこの1年間、あれこれ工夫していきたいと思っています。