宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

畑中純さんのお通夜と告別式

 というわけで、昨日、今日と、畑中純さんのお通夜とお葬式でした。
 先週の内記稔夫さんの葬儀に続いて知った顔がたくさんでした。大方の人はまた来週もマンガ学会の大会で会うので、こんな形で3週連続会うとはねえ、なんて話も。


 お通夜も告別式も、個人の遺志で無宗教葬ということで、お坊さんはおらず、読経もなし。BGMで畑中さんの大好きだったサザンオールスターズ桑田佳祐の曲が流れる中、弔辞と献花、でした。エルヴィス・プレスリー小林旭も流れましたね。まあしかし、サザンや桑田のバラードがハマることハマること。


 弔辞はお通夜は親しかった友人の方、今日の告別式はマンガ学会の会長でもある呉智英さん。お二人とも、個人との関わりのすごく具体的なエピソードを話されるので、頭の中に絵が浮かんじゃって、もう、ダメでした。呉さんが、何度もこらえきれずに声が詰まったり、泣いてしまったりしてるのが、また。
 今日の告別式ではご長男と奥様のご挨拶もありました。ご長男は、今ごろ、小倉の紫川の上流の河原で好きなたばこをふかしてるだろう、みたいな、もう絵柄が畑中純の絵で浮かぶ話をされて、こちらはその景色も具体的に想像できちゃうのでダメ、そして最後の奥さまのお話は、畑中さんが12日の夜に腹痛を訴えられてから、お亡くなりになる前の数時間の様子をこれまた具体的に話されるので、またダメ(笑)。
 棺に花を収めさせてもらった時も泣けてきちゃったし、何度も涙ぐんでいたのですが、思いがけず、最後のご出棺のとき、お手伝いをさせていただけることになりました。棺の重みを感じたとき、それまでとは違う、あ、この重みが畑中さんの重みなんだと感じで、急に格段にリアリティが増したというか、感極まってしまいました。


 先日のエントリでも書きましたように、北九州市の漫画ミュージアムの準備過程で何度もお会いしてはいたものの、ゆっくり長時間話せたのは、長谷川法世さんとのイベントのときくらいでした。畑中さん行きつけのスナックで、長谷川法世畑中純が初めて酒を酌み交わす場にいられるなんてと、ひそかに興奮していたら、畑中さんはお酒が飲めないということで、拍子抜けしたのもいい思い出です(笑)。でもお酒の席にいるのは大好きなんですね。順調に酔っていく(笑)法世さんの様子を見てほんとにうれしそうにしておられました。



 今回、どんなお葬式でも決まって配られる、会葬御礼の手紙が、畑中純さんご自身からのメッセージという形になっていたのは、うれしい驚きでした。急なことでしたから、おそらくご本人が用意されていたものではないと思いますが、でもほんとに畑中さんが言いそうなことを言いそうな文体で書いてあって、いかにご家族が良き理解者であったかを感じさせる礼状でした。



 お通夜の精進落としの会場も、「九鬼谷温泉 まんだら屋」の看板が出ていて。


 畑中さんとの個人的なお付き合いは、ごく限られたものでしたが、作品を通じてのお付き合いはまだまだ続きます。北九州市漫画ミュージアムでは、おそらく追悼展が企画されると思います。昨日の夜、居酒屋に流れた後呉さんが、我々としては畑中さんの仕事をこれからも少しでも多くの人に知ってもらえるようにしたいとおっしゃっていたのですが、私も微力ながら、努力していきたいと思います。


 改めて、畑中純さんのご冥福をお祈りいたします。