宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

日本マンガ学会九州マンガ交流部会第9回例会のお知らせ

日本マンガ学会九州マンガ交流部会・第9回例会
 物語/漫画をめくる冒険泉信行氏を迎えて−
■ 2008年、マンガ論の世界で最も注目を集めた著作は、『漫画をめくる冒険 読み方から見え方まで 上巻』(ピアノ・ファイア・パブリケーション)と題された同人誌だったと言ってよいでしょう。
 著者の泉信行氏は、イズミノウユキ名義で、『ユリイカ』(青土社)などの雑誌に論考を発表されているほか、自らのブログ「ピアノ・ファイア」などを通じて、旺盛な執筆活動を続けてきた気鋭の書き手で、『漫画をめくる冒険』は、「漫画」が、書物という「めくる」ことを前提にしたメディアであることを踏まえつつ、めくることで広がる世界の「見え方」を論じた、まさに冒険的な論考になっています。
 この例会では、泉氏をお招きして、氏の最新の問題意識や今後の展開をうかがうべく、マンガ史研究者の宮本大人と、泉氏の発表、およびフロアの参加者のみなさんとの議論を、行いたいと考えています。
 宮本発表では、泉氏の議論と、ジェラール・ジュネットが文学作品をモデルに展開したナラトロジー物語論)とを照らし合わせることを通じて、マンガという物語形態における語り方・見せ方の問題を捉える視野を、さらに広げることを試みます。
 泉発表では、それを受けてさらに、マンガに限定せず、物語全般の「読み方・見方・潜り方」にまで議論が広がっていくことが予想されます。
 マンガ論の最先端の議論が、まさにその場で生まれ・展開していく現場に参加する貴重な機会になると思われます。ぜひ多くのみなさんにご参加いただければと思います。

■日時:2008年11月15日(土) 13:00〜17:00
■会場:北九州市立大学(本館3階、D−303教室)
■内容
13:00〜14:30
 その物語はどこから見られているのか―泉理論とナラトロジーの「通訳」の試み―
 発表者:宮本大人(マンガ史研究)
14:45〜16:15
 物語と冒険〜展望(パノラマ)を越えて〜
 発表者:泉信行(漫画研究)
16:30〜17:00
 総合討議

■一般公開の例会ですので、マンガ学会の会員でない方もご遠慮なくご参加ください。学生のみなさんの参加や、途中からの参加も歓迎です。参加費は無料です。
■大学へのアクセスは大学ホームページをご覧ください。
http://www.kitakyu-u.ac.jp/access/kitagata.html

 先にいずみのさんに告知してもらってしまいましたが、教室等確定しましたので、お知らせする次第です。
 僕の話はあくまで前座で、それを受けて泉さんがどんなふうに話を広げてくれるかが、この日のメインです。発表のタイトルをいただく際に、おそろしく射程の長い、刺激的な草案を知らせてもらっています。マジすごいことになりそうですよー。
 ちなみに僕の印象では、泉さんは、オフ会という場を、今日本で最も有効に知的生産の技術・場として活用している人でもあり、要するに、人と話しながら、インプロビゼーション的に思考を発展させていくのが上手いんですよね。そんなわけで、参加者のみなさんにもぜひ積極的に色々な発言をいただければと思っています。