宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

「ポピュラー文化における被爆者表象」

 今日は、筑紫女学園大学主催の下記の公開講座が、日本マンガ学会九州マンガ交流部会の例会にもなっていたので、こういう分野で卒論書いてるゼミ生1人連れて(と言いつつ現地集合で僕は遅刻したんですが)、参加してきました。

公開講座 ポピュラー文化における被爆者表象
開催日時 11月28日(土) 14:00〜16:30


内容 現代日本における被爆者の表象は映画やマンガ、大衆文学といったポピュラー文化によるところが大きい。ポピュラー文化は一方では被爆者を周縁化する言説を流しつつ、それ自体周縁的な位置に置かれたポピュラー文化は被爆者のそうした位置づけへの対抗的な言説が表出する場でもあった。その意味では、私たちが被爆者という周縁化された存在と真の意味での共生を考える際にポピュラー文化がどのように被爆者と向き合ったのかを検討することには大きな意義があろう。本公開講座は長崎における原爆体験を少女マンガというスタイルで描いた漫画家の西岡由香氏による講演と研究者による研究発表とで原爆体験の文化的な意味について考える試みである。

会場 アクロス福岡 会議室 607 
対象 一般 100名
受講料 無料
申込み・募集期間 当日受付


西岡由香(漫画家)
横手和彦(長崎総合科学大学
吉村和真京都精華大学
一木 順(本学教授)
主催:英語メディア学科

 それぞれ大変興味深いお話で、特に、長崎のことについて不勉強だった僕には、西岡さんと横手さんのお話には教えられるところが大きかったです。横手さんの調査で存在が明らかになった、被爆した浦上天主堂の解体過程の写真は、本当に衝撃的で、貴重なものだと思いました。
 全体としてまとめてしまえば、ポピュラー文化の中でまさにポピュラーなものになってしまった被爆者表象に対して、別の視点からの表象を提示することの重要性が、それぞれ違ったフィールドとジャンルから、提起されていたと思います。と言ってしまうと、いかにもありきたりなんですが、言うは易し行うは難しなわけで、その点において、みなさん非常に具体的で実践的な形で、「違う視点」を提示しようとされていたと思います。
 ちなみにこの筑紫女学園の講座、来月は、トリナ・ロビンスを招いての、日米の女性作家による/女性向けのマンガをめぐるシンポジウムになっています。こちらは僕は参加できない見通しなんですが、大変興味深い内容になると思いますので、みなさんぜひ。

日米女性MANGA ―境界を越えた共生―
開催日時 12月13日(日) 17:30〜19:30
内容 Trina Robbinsは男性中心と思われていた北米コミックスに、女性作家の存在を掘り起こした。現在海外へのマンガの広がりは、コミックスへの女性参加を促している。女性マンガ交流がもたらす国境を越えた文化的「共生」の可能性を考える。
(使用言語:日本語、同時通訳あり)

会場 福岡アジア美術館 あじびホール  
対象 一般  80名
受講料 無料
申込み・募集期間 ハガキ・FAX、 ホームページからのお申込み  (当日受付あり)

主催・講師等 トリナ ロビンス(女性コミックス史研究家/もとコミックス作家)
溝口 彰子(ヤオイ研究者/法政大学非常勤講師)
大城 房美(本学准教授)
主催:英語学科
問い合わせ先 筑紫女学園大学 生涯学習センター
TEL: (092)925-9685
FAX: (092)928-6252