宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

「武富健治の世界」展第3期は12月2日(金)から26日(月)までです!

【期間終了の日付で書いています】



 4カ月にわたる「武富健治の世界−「鈴木先生」から「古代戦士ハニワット」まで−」展も、折り返し点を過ぎ、第3期に入ります。
 第1期から第4期まで、1カ月おきに、壁の展示は全面的に、ケースの展示も5分の1から4分の1程度展示替えを行っていますが、第3期はここから全体の後半と言うことで、第2期以上に展示物が入れ替わっています。
 まず壁を使って、「鈴木先生」の特定のシーンを取り上げて、プロットのメモ、ネーム、決定稿の原画、ドラマ版シナリオとスチルと、作品の精製・変容の過程をたどる「鈴木先生の作り方」は、ついに「@掃除当番」の登場です。
 大学生時代に描かれたオリジナル短編版の「掃除当番」の原画から始めて、2002年版、「鈴木先生」のエピソードとしての2バージョン、と3バージョンあるネーム、そして「鈴木先生」版の決定稿と盛りだくさんの展示になっています。



 プロットやネームの変遷も面白いですし、原画の絵の力もすごいです。丸山さんが背中をポンとたたかれてショックを受ける瞬間のコマが、オリジナル版と「鈴木先生版」では丸山さんの向きが正反対なのも、二つを同じ平面に並べることではっきり分かって面白いです。
 テーブルケースにはネームノートの現物を、3バージョン分すべて、壁で見せているのとは違う場面でお見せしています。脇に添えられているプラモも結構入れ替わっています。




 ケースの展示も、「ホラー・実録系作品の世界」がいつものように全面入れ替え。今期は「ナビゲーター」という作品です。
 また「武富健治イラストレーションズ」を中心に、かなりたくさんの作品が入れ替わっています。絵描きとしての武富健治の魅力を、一番堪能していただけるのは今期かもしれません。「屋根の上の魔女」で、今はなき明治大学記念館が出てくる場面の原画も出てますし、「蟲愛づる姫君」の原画は引き続き出てます。



 この2枚なんか超すてきですよ。



 ハニワットの6分の1フィギュアもポージングと背景に置いてある原画は毎回変わっています。
 4カ月は長い、いつでも行ける、そんなことを思ってるうちに、あっという間に展示は終わってしまいかねません。なにぶん申し訳ないことに、当館は週に4日しか開きませんから、年末のあわただしい時期ではありますが、ぜひぜひご予定を組んでいただいて、足をお運びください。
 12月17日(土)には「鈴木先生」の歴代担当編集者である染谷誠さん(現『漫画アクション』編集長)、遠藤隆一さんによるトークイベント「『鈴木先生』の育て方」もあります。私の司会でお二人にたくさん裏話をお聞きするつもりですので、ほんとにぜひぜひ。