宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

トークイベント「武富健治の育ち方」

【10月14日に書いています】


 今日は、「武富健治の世界」展の関連イベントということで、「武富健治の育ち方」と題して、武富さんに自らの作風の形成に影響を与えたものについて語っていただきました。
 会場は、さすがにいつもの米沢嘉博記念図書館2階閲覧室では狭いだろうということで、明治大学リバティタワーの教室にしました。
 広報不足が否めない状況だったので、正直どれくらいの方に集まっていただけるか不安だったのですが、ふたを開けてみればこの教室にしておいてよかった、と言える盛況で何よりでした。
 集まっていただいた方も、さすがに熱心に聞いていただき、リアクションもよかったので、大変やりやすかったです。
 今回、展示の中に「武富健治を育てたものたち」という展示ケースを二つ用意して、漫画、文学、音楽、映画、演劇などの諸作品を、武富さん自身の書棚からお借りして展示してあるのですが、今回のトークでは、時間も限られているので、引っ越しの多かった少年時代や、二人で一人の漫画家としてのデビューを目指していた田中宏治さんとの出会いといった、環境的な要素についてまずお聞きし、その上で、手塚、白土、永島といった漫画家の諸作品、それから直接的に「鈴木先生」にヒントを与えたバロン吉元の先生ものシリーズ(『だるま校長』のタイトルで双葉社から一冊にまとまっています)などとの関係を、実際に作品の図版を比較しながら、僕がお尋ねし、武富さんが答える、という形式で進めさせてもらいました。

 武富さんとの公開の場でのトークはもう4回目になるのですが、今回は全てが新しい話題だったので、僕自身が一番楽しませてもらった感じでした。
 元・相棒の田中宏治さんにもおいでいただくことができ、質疑の時間に少しお話いただけたのもうれしかったです。
 武富さんのホームページの掲示板にも、詳しい感想がつづられていますので、どうぞ。


http://www3.ezbbs.net/32/oxnataketomi/


 ここでも書かれていますが、質疑の時間もすぎて、そろそろ終わろうかなという頃に、何と会場の最後列に、ドラマ版「鈴木先生」で小川蘇美役を演じられた土屋太鳳さんが全くのお忍びで、お母様と思しき方とお見えになっていることにびっくりしました。目立たないように途中でそっと入って来られたようです。
 ツイッターで感想を書かれてた方も多かったんですが、みなさん、「まさにリアル小川蘇美!」的な感嘆・感動を洩らされていました。
 土屋さんは武富さんに挨拶された後さっとお帰りになったので、残念ながら(ええ、心底残念ですとも!)僕はご挨拶できなかったんですが、それでも、ほんとにうれしいサプライズでした。展示も見に来てくれたりしないかにゃー。充実した「鈴木先生」特集を組まれていた雑誌『spoon.』さんの企画で、小川さんin武富展、みたいなの、やってもらえたら嬉しいんですが。展示会場内の教室机に座っている土屋さんが見たいっ。

spoon. (スプーン) 2011年 08月号 [雑誌]

spoon. (スプーン) 2011年 08月号 [雑誌]


 とか浮かれていたんですが、上の武富さんの掲示板にもあるように、あとでハタと武富さんと気付いて青ざめたのは、トークの中で、武富さんの別名義の「江露巣主人」によるエログロ作品群と「ブラックジャック」の関係を、図版も見せながら二人で盛り上がって語っていたくだりを、土屋さんも見て聞いていたのではないか、ということでした。
 実際、あとで得られら情報によると、時間帯的にはそれより前からもう教室に入られていたとのこと。確実に聞かせてしまっています。
 武富さんの「上品な人が持ち合わせている「聞かないほうがいいことはスルーできる調整能力」もしっかり持っていそうですし」という推測はたぶん当たっていると思うんですが、土屋さんは大丈夫だとしても、16歳の女の子にそうやって上手にスルーしてもらっている40過ぎのおっさん二人は大丈夫じゃないのではないかと思ったり。ま、仕方ないですね。決してただゲスいネタを提供しようとしていたわけではないですし。「深い人間愛」とかですね…。



 トーク終了後は、取材の共同通信さんや、関係者のみなさんと、閉館後の展示会場に戻り、内覧会代わりの時間を設けました。



 巨大ポスターそれぞれの前で取材を受ける武富さん。



 2階閲覧室でも用意された武富本コーナーで、レアな資料を手に取って皆さん読みふけります。
 その後、中華屋さんに移動して打ち上げ。武富さんについての田中宏治さんのお話が面白くて面白くて。ヘビとかカエル飼ってた時の話とか、モノの片付け方がおかしいといった話とか、笑えてなおかつ武富さんの本質にもかかわるようなお話は、さすがに長年の相棒という感じでした。
 「鈴木先生」の単行本の装丁を手がけたデザイナーの関善之さんや、「鈴木先生」の担当編集者の遠藤隆一さんも交えての男子テーブルの会話は、ガンダムやらイデオンやらの話題を中心に、ほんとにほぼ単なる男子漫画・アニメトークで、久しぶりに無邪気にガンダムの話したなーって感じで楽しかったです。


 中華屋さんをいったん締めた後、武富さんたちはさらに二次会のカラオケに行かれたんですが、僕は翌日家族でディズニーランドというイベントもあったので、体力維持・回復のためにおいとまさせてもらいました。ひっじょーに残念でしたので、また次の12月のトークイベントのときを狙いたいと思っています。


 ともあれ、大変充実した一日になりました。武富さん、参加して下さったみなさん、本当にありがとうございました。引き続きこの展覧会の盛り上がりにご協力いただければ幸いです。