宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

ルパン三世展

今度は松屋銀座店でルパン三世展。


うーん、期待していたほどではありませんでした。
会場のデザインは、さすが祖父江慎さんという感じの洗練ぶりなんですが、それでも同じ会場で以前行われた赤塚不二夫展や水木しげる展でのお仕事に比べると、オーソドックスというか、こちらがあっと驚くような、それでいて作品世界への理解と愛が感じられるような「攻めてる」空間デザインにはなっていない印象でした。ちょっと「会場デザイン:祖父江慎」に対する期待値が上がりすぎてたかもしれません。
展示構成も、前半が、アニメ版をパイロット版からテレビ版の三つのシリーズ、劇場版と、順を追って、設定資料やセル画を展示、後半がマンガ版をモンキー・パンチの原画をふんだんに使って紹介、という極めてオーソドックスなものでした。
特に前半のアニメ版の展示は、総花的になってしまって、全般に踏み込みが浅いというか、食い足りない印象だったのでした。たとえば、テレビ版第一シリーズについて、前半の大隅演出と後半の高畑・宮崎コンビ演出の違いなどにも触れないって、ちょっとなくないですか?
「アニメ化40周年記念」を掲げながら、半分をマンガ版の展示にも当てたところに、ちょっと無理があったような気がします。アニメーションを扱う展覧会は、まだマンガ展ほど工夫の蓄積がないと思うので、いい機会として、アニメ版に焦点を絞って、濃く攻めてほしかったなという気がしました。
ま、個人的にはモンキーパンチ先生の絵、大好きなので、マンガ版の原画が山ほど見られたのは、それはそれで眼福だったんですが。