宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

「井上雄彦 最後のマンガ展 重版〈大阪版〉」

 改めて感想書いときます。といってもネタばれ禁止なんで、基本的に見た人にしか分からないような断片的な書き方になりますが。



 今回の会場はサントリーミュージアム天保山。どでかいバナーと写真を撮ったら、「何をしとんねん、お前ら…」な武蔵の目線がこっちに来てました。


 今回も、熊本版に引き続き、また新たに描き下ろした絵が何点もあるとか、新しい演出があるといったことは聞いていたので、それなりに心構えはありました。
 にもかかわらず、驚いたのは、単にいくつか新しい絵を付け加えるというのではなく、〈この展示の中では)中くらい以上の大きさの絵で、重要な場面のそれが、かなりの点数、新しく描き直された絵に差し替えられてることでした。
 それがまた、もう、元の絵より、格段に良くなってるんですよね。批評家失格な貧しい表現で恐縮ですが、要するに、「優しく」なってる。もちろん、全く甘さのない優しさです。会場入ってかなり早い段階でそういう新しい絵が出てくるので、すっかりテンション上がってしまいました。
 上野の時の絵は、会場限定で売られている図録『いのうえの 満月篇』に収められているので、大阪版に行かれた人は、ぜひ見比べてほしいと思います。上野の時の絵だって、それだけ見る分には十分すごいんですよ?でもさらに、すごくなってる。
 上野から1年半くらいですが、今の井上さん基準からすると、不満があったんだろうなと思います。この「物語」の個々の場面やキャラクターに対する井上さんの理解の深まりと表現力の高まりが表裏一体になって、ぐんと進んだということだろうと思います。いくつかの絵は、今思い出しても、その場面の表現がそんなふうに深められたことに、うるっと来てしまいます。なんか、やっぱりとんでもない表現者ですね。


 あー、これ、もう一回行きたいなあ。なんとかスケジュールをやりくりできないかなあ。あと1カ月で引っ越しなんですけど…。


 ともあれ、5月・6月には仙台版が。これでいよいよほんとに最後、なんですよね。この展覧会がどこまで行くのか、さらに期待が高まった次第です。



 展示を見終わったオリジナルグッズ売り場で物欲に駆られたあと、テラスに出るととんでもなくきれいな夕日が。何これ、すごくね?マンガの神様、ありがとうございます。


 あ、そうだ、もう一つ、驚いたことが。
 上野、熊本に引き続き、今回も、会場の案内・監視を担当するスタッフは黒地に白抜きで、にょろにょろ化した胤栄と石舟斎の絵が描かれたスタッフTシャツを着てたんですが、この二人のじいさんのセリフが。
 上野では、「スタッフじゃよ」、「そうじゃよ」。
 熊本では、「スタッフたい」、「そうたい」。
 でした。
 てことは、当然、大阪では、
 「スタッフやで」、「そうやで」。
 と来て、さて仙台はどうすんのかな、とか思ってたわけですが。
 実際は、
 「スタッフや」、「要チェックや」。
 でした…!
 ぐあー、井上雄彦大阪弁、で、彦一のことを思い出していなかった自分が、アンビリーバブルです。



 こんなでかいパネルの前で記念撮影もできます。でかすぎて、自分たちの顔ちゃんと写りませんけど(笑)。
 関西方面のみなさん、もう残り会期1カ月切ってます。上野や熊本まで行った人も、絶対もう一回行くべきです。ぜひ。ぜひ。