宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

こんなことがあっていいんでしょうか・・・。

 大阪府庁舎のWTC移転問題で、審議がズレにズレてきた、2月定例府議会ですが、23日の教育文化常任委員会において、第130号議案「大阪府立国際児童文学館条例廃止の件」は、自民、公明が賛成、民主、共産が反対、の立場をそれぞれ表明したのち採決が行われ、賛成多数で可決されてしまいました。これに先立って、共産は、平成23年まで廃止を先送りにする修正案(という理解でおそらく合っていると思います)を提出しましたが、否決されました。
 続いて、今もまだ行われている(つい今しがた府庁舎移転案が否決されたばかりですが)本会議においても、先ほど、同様に、第130号議案は、自民、公明が賛成、民主、共産が反対、となり賛成多数で可決されました。
 教育文化常任委員会で賛成多数で可決、となった時点で、自民から付帯決議を行うよう求める動議があり、次のような付帯決議が行われました。

【付帯決議】
 大阪府立国際児童文学館の、中央図書館への移転については、知事、および執行機関は、今定例会で行なわれた議論を厳粛に受け止め、次の諸点について、格段の努力を図るべきである。

 一、国際児童文学館設立時の趣旨に沿い、引き続き資料を収集、保存、活用すること
 一、これまで国際児童文学館において培われてきた、子どもの読書支援センター、ならびに児童文化の総合資料センターとしての機能を引き継ぐこと
 一、府立中央図書館において引き継がれた機能が、府民、利用者に、明確に分かるよう、区分した対応に努めること


 ないよりはまし、なのだろうと思うんですが、ここで求められている3点のうち、初めの2点、特に日本書籍出版協会加入出版社からの、年間2千万円相当の大口の継続的資料寄贈によって可能になっていた、継続的な資料の「収集」と、「ニッサン童話と絵本のグランプリ」の実施のような、民間企業からの資金援助も得ながら実現されてきた児童文学館独自の「機能」とは、今までそれを担ってきた財団法人大阪国際児童文学館、特にその専門員抜きに、現在の業務で手いっぱいのはずの府立中央図書館の体制では、担い切れるはずがない、というのが「当面の間現地存続」を求めてきた側の認識です。
 知事も教育長も、ほとんど何の具体的な裏付けも示さず、「国際児童文学館設立時の趣旨に沿い、引き続き資料を収集、保存、活用する」、「子どもの読書支援センター、ならびに児童文化の総合資料センターとしての機能を引き継ぐ」と、ひたすらお題目のように唱え続けているだけなのは、今までの府議会での議論から明らかだったはずです。できる根拠を示さず、できるできると言っているだけの状況で、「ほんとにできるんだよね?じゃあ、やってね」と丸投げしてしまってよかったんでしょうか。
 この付帯決議にどの程度の拘束力があるのか、よく分からないのですが、今のところ僕には、「一つ目も二つ目もまともに実現できませんでしたけど、「格段の努力を図る」ことだけはしましたので、許してね。とりあえず「区分」はしましたから。」、みたいなことになる危険性が、極めて高いように思えます。自民、公明、両会派の判断は、あまりにも拙速だったと考えざるを得ません。残念です。悔しいです。府庁舎移転は否決されただけに、なぜ同じ慎重さをもって、この問題についても考えてもらえなかったのか、という思いを禁じ得ません。