宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

知事に必要最低限のレクチャーを行う責任を担当部局は果たしているのか

【以下、追記です】
 上のエントリを上げたと思ったら、早速鷲谷さんとこに続報が。
http://d.hatena.ne.jp/hana53/20081015/1224064450
 NHK関西のニュースに出てるんですね。
http://www.nhk.or.jp/osaka/lnews/02.html

大阪府の定例府議会、会期末の15日は、午後1時すぎから最後の本会議が開かれ、この議会に提出された議案について主要4会派が議案に対する見解を表明したあと、採決が行われました。
(中略)
一方、橋下知事が、府の歳出削減案で、国際児童文学館を廃止し、中央図書館に統合する方針を打ち出していることに対し、支援団体などから出されていた文学館の当面の存続を求める請願が、全会一致で採択されました。
請願は採択されても知事に対する強制力はありませんが、文学館の廃止をめぐっては、与党の自民党からも「中央図書館への統合に伴う財政負担は少なくない」などと反対する声があがっています。
請願が採択されたことについて橋下知事は、本会議終了後、記者団に対し「議会の判断は重いが、私としては70万冊の本を早く子どもたちに見せたいのでこれまでの予定通りにしていきたい」と述べ、廃止・統合する考えに変わりがないことを強調しました。


 うーん。やっぱり・・・。
 ていうか、議会の答弁の中でも言ってましたが、知事は、70万点の資料が、全て「子どもたち」に直接見せられるようなものだと理解しているようなんですよね・・・。戦前のものはもちろん、最近のものであっても、書籍に比べて雑誌資料は、紙や製本が簡易なものも多くて、国会図書館のように20歳以上でないと利用できなくなっていて、かつほぼすべての資料が閉架になっている施設でさえ、利用頻度の高い資料はどんどん傷んでいっているわけです。
 児童文学館は、この辺、結構破格で、2階の、そうした貴重書や、古書価格的には高価でなくとも、手に取って閲覧されたり、複写されればされるほど、どんどん傷んでいく性格の資料の閲覧もできる閲覧室を、中学生以上なら利用できることになっています。戦前の『少年倶楽部』とかを中学生でも閲覧できる施設って、相当開放的な方針だと思うんですけど、それが不満だということは、小学生以下の子供にも手にとって閲覧できるようにしたいんでしょうか?さすがにそれはちょっと、資料の保存の観点から、不安が大きすぎますし、逆に小学生以下の子たちにとっては、別に戦前の雑誌や貴重書なんて、大したニーズはないでしょう。
 要するに、所蔵資料群の特性も、資料の保存と公開にまつわる基本的な諸問題も、知事は、相変わらず認識していない蓋然性が極めて高いわけです。ごく断片的な情報にすぎない無断撮影ビデオを見る暇はあっても、そういうことを自ら学ぶ時間はないということでしょう。
 この辺、担当部局の長である教育長とか、受け入れ側の府立中央図書館側は、どう考えているんでしょうか。特に教育長は、もっときちんと、最低限必要な情報は伝えておくべきじゃないんでしょうか。知事の話しぶりでは、2階の閲覧室は大人の研究者しか入れないと思ってるふしさえあるので、本当に不安です。