宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

さてこの間

 以下の2冊をご恵投いただきました。

入門・現代ハリウッド映画講義

入門・現代ハリウッド映画講義

マンガを読む。

マンガを読む。

 『入門・現代ハリウッド映画講義』は執筆者の一人である鷲谷花さんからいただきました。鷲谷さんはマンガ史についてもいくつか重要な論文をお書きで、どこかでまとめられないかなと期待しているのですが、今回の児童文学館の問題についてもいち早く反応して下さり、映画史研究にとっても貴重な資料が多数収められていることに触れつつ、映画研究者に向けて運動の呼び掛けをして下さっているそうです。
 とはいえ、だからこの本を紹介する、というわけではなく、たまたま時期が重なっただけなんですが、これは本当に面白そうな論集です。鷲谷さんは巻頭論文「「経験」の救出――「パニック映画」としての『ワールド・トレード・センター』」をお書きですが、実は今頃になってちょびちょび読み進めている小田切博さんの『戦争はいかに「マンガ」を変えるか』の後に続けて読みたいと思っています。
戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌

戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌

 『入門・現代ハリウッド映画講義』の目次と概要については、「テアトル・オブリーク」の下記のページをご覧ください。
http://www16.ocn.ne.jp/~oblique/information.htm
 伊藤剛さんの『マンガを読む。』の方は、マンガとマンガ論の本のレビュー、そして短めの作家論が、とにかくたくさん並んでいます。飽きないのかな、と思っていたんですが、編集の妙で、むしろさくさく読める感じになっていると思います。まだ拾い読みなんですが、北見けんいち論や弘兼憲史論が特に面白かったです。そうそう、伊藤さんってこういう作家をこういう風に語れる人なんだよね、という感じ。軽妙な文体でありながら、ちゃんと分析的に本質に迫っていく文章で、伊藤さんの幅の広さを再認識させてくれます。『テヅカ・イズ・デッド』の伊藤さんしか知らない人には特にお薦めしたい一冊ですね。