宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

明日の座談会は

もちろん『テヅカ・イズ・デッド』を中心に、マンガ論の現在をめぐって語り倒そうという趣旨な訳で、直前になって出た大塚英志さんの『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』とかも大急ぎで読んでるんですが、そこへ持ってきて今日大学の生協で小野耕世さんの『アメリカンコミックス大全』なんて新刊まで見つけてしまいました。もちろん即買いです。
当然まだ中身は読んでませんが、目次を見ますと、
「序 アメリカンコミックスとは何か」
に続いて
「映画監督アラン・レネアメリカンコミックスを語る」
というおそろしく魅力的なインタビューがあり、
この二つをイントロダクションとして、以下、
「Ⅰ スーパーヒーロー・コミックス」
「Ⅱ 新聞連載マンガ」
「Ⅲ オルタナティヴ・コミックス」
と、アメリカン・コミックスの三つの柱を網羅する三部構成になっています。
版元は晶文社で全477ページ。これはもう、読まなくとも名著と断定していいでしょう。
小野さんは、言うまでもなく、アメリカンコミックスのみならず、海外のマンガの紹介・評論の第一人者であり、かつまた日本の戦前・戦中の物語漫画の紹介・評論の第一人者でもあります。1980年前後に『奇想天外』誌に連載されたものの、おそらく版元の倒産のせいで単行本にまとめられないままになっている「奇想天外コミックスの系譜」など、大城のぼる松下井知夫横山隆一といった作家の仕事をめぐる評論としていまだに最高水準のものと言えます。ちょうど一冊分くらいの分量はありますし、大塚さんの前掲書もまさにその一例であるように、戦前・戦中期の物語漫画への関心が高まっている今、一刻も早くどこかの出版社が小野さんに働きかけて、出すべきだと思います。
アメリカン・コミックスについては、小田切博さんが単行本を用意しているはずで、伊藤さんと夏目さんの本が相次いで出たのと同様のスリリングな展開を、アメリカン・コミックス論でも味わうことができるかと思うと、本当に興奮します。しかし、去年に劣らず、今年もマンガ論はほんとに当たり年でした。

アメリカン・コミックス大全

アメリカン・コミックス大全

アマゾンはまだ書影がないので、晶文社にもリンク貼っておきます。
http://www.shobunsha.co.jp/