宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

お別れ、台風、集中講義

 今日から白百合女子大学での集中講義だったんですが、朝、ホテルでメールを開くと、昨夜遅くに、オクサンのおじいちゃんがお亡くなりになったとの知らせが来ていました(いい大人なんだから「妻の祖父が亡くなった」って書くべきなんでしょうけど、この方がしっくりくるし、このブログは親しい知り合いに近況報告するような調子でほとんどいつも書いているので、お許しを)。
 92歳でした。去年の夏ごろから、徐々に床に着いている時間が長くなり、食事の量が減り、目覚めている時間が短くなり、という過程を経て、ご本人も周囲も、少しずつ心の準備をしながら、その日を迎えられたという感じでした。残念ながら僕は行けなかったのですが、8月下旬にはオクサンと子供たちで京都のおすまいを訪ね、その時はちょうど目が覚めて、子供たちのことも分かってくれたとのことで、オクサンにとっても、それなりにお別れはできていたようです。
 数日前からこん睡状態になったとのことだったので、集中講義期間中に…、ということは想定して、その場合、授業終了次第、京都に移動して、前夜式(おじいちゃん夫婦はプロテスタントなのでお通夜ではないのです)に出て、終電か次の日の始発で帰る、という準備はしていたんですが、今日はちょうど関東に台風が接近するというもう一つの要素があり、万が一新幹線が止まったり、徐行運転になったりしたらどうしようと思いながら、大学に出かけました。
 お昼休みにはかなり風も強くなり、この調子で予報通り台風が近づいてくると、予定通り4時限まで授業をすると、ちょうど終わる16時半ごろに風雨のピークが重なりかねないので、遠方から通学している学生のことも考えて、新幹線が気になる僕の事情も、教務課に話して(キリスト教系の大学なので、こころよく配慮してもらえました)、今日の授業は3時限で終わることにし、その分水曜日の授業を1コマ増やすことにました。
 実際には、その後、大学全体を15時に閉めるという判断が下され、学生も教職員も全員急いで大学を出ることになり、僕も、結果的に予定より1時間余り早く新幹線に乗ることができました。
 新幹線は止まることも遅れることもなく京都に着き、式の開始時間にちょうど教会に到着できました。当初の予定通り4時限終了後だと、式が終わるころにしか着けなかったので、最初は色々心配しましたが、結果的には、最初から最後まで式に参列できるという理想的な流れになりました。あまりにも普通あり得ない偶然の重なりで、なんか、天のお導きってあるのかも、と思ってしまいました。
 プロテスタントの教会での前夜式というのは初めてだったのですが、おじいちゃんの子供、孫、ひ孫(うちの子たちもそうです)全員が集まって、おじいちゃんの長女に当たるウチのオクサンのお母さんが教会のオルガンを弾く中(もともとピアノの先生で、パイプオルガンも弾けるのです)、賛美歌を歌い、故人の生涯についての牧師さんのお話を聞くのは、シンプルだけど、とてもいいなと感じました。上の子が幼稚園で覚えていた祈りの言葉や賛美歌を一緒に唱えたり歌ったりしているのを見て、ちょっとぐっときました。
 明日の午後、告別式が行われるんですが、そちらへの参列は、申し訳ないですが、断念し、終電で東京に戻ってきました。
 ほんとに素敵な方でしたし、オクサンにとっては、小さい頃から大好きなおじいちゃんだったので、悲しいことではあるけれど、本当に幸せなお別れの形で、よかったなあと思いました。僕にとっても、式の最初から最後まで参列できて、ほんとによかったです。おじいちゃんおばあちゃんに電話をかけると、おじいちゃんは必ず切り際に僕に「(オクサンと)仲ようやってや」と言ってくれるのですが(笑)、そのやさしい声が、式の間、何度も思い浮かんでいました。
 ということで、また明日から集中講義、がんばります。