宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

連続講演会、昨日は自分の番

 でした。
 研究室で完全徹夜で、朝6時発の高速バスの中でもノートPC開いてレジュメ直して、家帰って急いでシャワー浴びて、上の子と一緒に小学校行って、運動会の場所取りして、11時前まで運動会見て、子供の徒競争やダンスの写真を撮った後、特急電車に飛び乗って弁当食べた後40分だけ寝て、CAMK入り、講演開始直前までスキャンした図版の整理をしてるという状態でしたので、なんだか脳内麻薬が出っぱなしの一日でした。


 「何のために人を斬るのか―『赤胴鈴之助』から『忍者武芸帳』、『バガボンド』まで―」ということで、子供向け物語マンガの黎明期から、時代劇は人気ジャンルの一つであったことを、大正期の宮尾しげをの作品などを例にしながらご紹介することから始めました。
 続いて、昭和10年前後の赤本漫画における時代劇漫画の隆盛と、それに対する問題視への配慮を織り込んで『少年倶楽部』で始まった中島菊夫の「日の丸旗之助」に触れ、戦後は占領検閲期の時代劇漫画へのGHQによるチェックの入り方も簡単にご紹介しました。
 その上で、学校剣道解禁後に登場する『赤胴鈴之助』、そして白土三平忍者武芸帳』について、それぞれの物語構成や世界観、登場人物のキャラクター造形、人を斬ることをどう意味づけているか、などに注目しながら概観し、それらと比較しながら、『バガボンド』が、どのような特徴を持っているかに迫っていく、という流れでお話しさせてもらいました。
 基本的に、去年北九大公開講座で話した内容をベースにしていたのですが、1年の間に「バガボンド」はさらに先へ進んでいますし、今回は講演の趣旨からも「バガボンド」の分析に厚みを持たせなければと思い、この作品の最大のポイントである身体の描写が、連載を通じて、どのように深まってきているかを、きちんとお見せしようと、山のように図版をスキャンしていたら、当日の朝まで完全徹夜することになってしまい、しかも結局、スキャンし過ぎで、大半はお見せできないという馬鹿丸出しの展開になってしまいました。
 また、絵をお見せするだけよりは、ちょっとでも実際に振ってみた方が、分かりやすいかな、てか少なくとも余興的な面白さぐらいは出るかなと、前日にあわてて小倉の武道具店に木刀を買いに行ったところ、小倉も一応ゆかりの地だからなのか、別に全国どこの武道具店にもあるのか分かりませんが、二天一流用の長短日本の木刀がセットで3900円で売ってるではありませんか。こりゃ楽しい、と早速購入し、夜中に研究室でちょっと振ってみたりして、熊本まで持参し、ほんのちょっと、実際、最初の2巻ぐらいの武蔵の棒や刀の使い方を真似してみながら、腕や手首に無駄に力が入ってたり、あんまり理にかなった振り方になってないことなどを、説明してみました。
 一応小・中・高と剣道してたので、全日本剣道連盟から二段の免状もいただいているのですが、なにせやめて20年経ってるので、たぶんちゃんとやってる方が見れば相当かっこ悪かったと思いますし、小次郎編からは、はっきり甲野善紀などの古武術研究の成果を活かした身体の使い方が描かれるようになっているので、僕にはもう全く真似できないのが残念でしたが、とりあえず、ウケたようで、よかったです。
 CAMKのブログには早速レポートと二刀ぶらさげた僕の写真が載っていますし、熊本文学隊のブログでも紹介していただいています。伊藤比呂美さんにもおいでいただいて面白かったと言っていただき、日記にも書いて下さっています。

http://camk.glide.co.jp/blog/index.php?eid=110

http://d.hatena.ne.jp/kumamotoband/20090523/p2

http://www.k-nakazawa.com/ito_hiromi/diary.cgi?mode=view&no=530

 講演終了後は、伊藤さんに誘われ、館長室でしばし歓談、その後、伊藤さんたちと別れて今度はマンガ学会・九州マンガ交流部会のみなさんとの懇親会を居酒屋で、終了後さらに、CAMKの冨澤治子さん、跡上史郎さん、九州部会のイベントに顔出してくれてる北九州の「スタジオコラゾン」の浅香圭さんと、担々麺、喫茶とハシゴし、11時過ぎまで延々とおしゃべりさせてもらいました。