宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

僕の好きなオフレポ

 っていうかオフレポばっかりですけどね、このブログ。
 ともあれ、今日は「ピアノ・ファイア」のいずみの(id:izumino)さんをお招きしての研究会&懇親会でした。
 お招きしてって言うか、順序から言うと逆で、いずみのさんがこちらにおいでになるというので、じゃあせっかくですからと僕がお願いした次第です。
 ちょっと急なことだったので、参加者は、いずみのさん、僕、いずみのさんのご友人のYさん、それからマンガ学会・九州部会の大城房美さん、Sさん、そして九大大学院の金慈恵さんと、「恍惚都市」のid:komogawaさんの7名でしたが、これがなかなか、濃密な発表&討議にはちょうどいい人数で、すごく充実した研究会になったと思います。いずみのさんにとってどれくらい刺激的なコメントができたかはちょっと心もとないんですが、僕にとっては、すごく面白かったです。おそらく2007年5月20日のマンガ論の最先端は福岡にあったと思います。
 お話は、前半が、『ユリイカ』の「マンガ批評の最前線」にイズミノウユキ名義で書かれた「視線力学の基礎」の延長上にあると言える「アングル」の問題、後半が、「リクィド・ファイア」の方に上げられている「マンガ批評における視点をめぐる諸問題」の延長上にある、というかこの場合は基礎をなす、といった方がいいかもしれませんが、「そのコマは誰の目から見たコマなのか」問題、でした。
 内容については、いずれまとまった形で発表されると思いますので触れませんが、ほんとに画期的なものだと思います。いよいよ、マンガ表現論が、それを内に含み込んだ形でのマンガメディア論へと発展する段階に来たのかな、という気がします。つまり、マンガ表現の形式・文法のレベルを支えている、そもそもマンガが、冊子体に綴じられた紙の印刷物として手にされ視線を注がれるものであるという、メディアとしての物質的水準までを視野に入れつつ表現のありようを論じるという、「視線力学の基礎」ですでに着手されていた試みが、さらに包括的なものになってきていたということです。
 いやー、でもマンガとその読み方を分析的に議論するのって、ほんとに面白いなあと久しぶりに実感した4時間(!)でした。午前中にあわててマンガ喫茶に行って、今まで読んでなかった(おいおい)スクランにばばばっと目を通しておいて、ほんとによかったと思いました。
 そのあとの懇親会ではずっとお話にお付き合いできたわけではないんですが、僕がフォローしきれていないマンガについてのディープなトークを、アホみたいな顔して聞かせてもらいました。お友達のYさんがまたたいへんなマンガ読みで、二人の会話が面白いんですよ。研究会でも厳しいツッコミと的確なフォローで討議を大変充実したものにして下さいました。
 というわけで、今日はほんとにありがとうございました。>いずみのさん、Yさん

ユリイカ2006年1月号 特集=マンガ批評の最前線

ユリイカ2006年1月号 特集=マンガ批評の最前線