宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

『酒井七馬伝』読了

 

謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影

謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影

 やっぱり名著。最後の数ページで、レトリックでもなんでもなく、泣いてしまいました。表現者としての中野晴行が、表現者としての酒井七馬に深く共鳴しているのが分かります。生涯あきらめるということを知らなかった男の神話を支えた、もう一人の男のあきらめを、自らの諦観とともに描き出すこと。これだけ画期的な本を、それでもガツガツ売りに行かない著者の心情が腑に落ちました。僕の500位以内運動など、ある意味では余計なおせっかいなのでした。でも、僕にとって歴史を書くこととは、それ自体余計なおせっかいなのかもしれず、当分そのおせっかいをやめるつもりはないのです。


 そして、