やっぱり名著。最後の数ページで、レトリックでもなんでもなく、泣いてしまいました。
表現者としての
中野晴行が、
表現者としての
酒井七馬に深く共鳴しているのが分かります。生涯あきらめるということを知らなかった男の神話を支えた、もう一人の男のあきらめを、自らの諦観とともに描き出すこと。これだけ画期的な本を、それでもガツガツ売りに行かない著者の心情が腑に落ちました。僕の500位以内運動など、ある意味では余計なおせっかいなのでした。でも、僕にとって歴史を書くこととは、それ自体余計なおせっかいなのかもしれず、当分そのおせっかいをやめるつもりはないのです。
そして、