宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

あと忘れてたんですが

 伊藤剛さんが寄稿してる『ゲームラボ』12月号をご献本いただきました。ありがとうございます。伊藤さんと斎藤環さんによる対談の1回目と、伊藤さんによる「試験に出るマンガ史」が載ってます。
 伊藤さんって原稿書いてるときのことははてなで書くけど、その原稿が載った雑誌が出ましたよ的な告知はあんまりしない印象がありますが、そんなことないですか?ともあれこれはいいので、ここでご紹介しときます。

 「試験に出るマンガ史」、いいですよ。面白半分企画でありつつ、実に懇切かつコンパクトなマンガ史入門になってます。伊藤さん流の「表現史」を、1920年代から2000年代まで通史的にやるとどうなるか、という構想の素描にもなっています。「なぜマンガ史を知る必要があるのか」についても、それを「現在」との関わりにおいてちゃんと説明してあるし。「歴史=年表」じゃないんですよ、とかね。
 記述の細部に「ん?」てとこが全くないわけではないですが(根岸こみちが戦前から活動してたように読めるとか、そもそも新関健之助と根岸こみちを二人だけ並べるのはちょっと違和感が、とか。もちろん個人的には根岸こみちはもっと再評価されるべきだとは思いますが)、この企画が担うべき役割からすれば全然許容範囲でしょう。ここからさらに興味を深めていってもらえればいいわけですから。
 全部で6講に分かれてますから通勤中の細切れ読みでも大丈夫。お買い得ですよ。