宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

今日の寝る前の本

 ひさびさですね。今日は乗り物じゃありませんでした。

あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)

あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)

 古典中の古典ですね。前から好きだったんですが、昨日だか一昨日だかに購入したそうです。買ったばかりなので、しょっちゅう読みたいってことみたいでした。レオ・レオーニって名前もうれしいみたいですね。れおれおにれおれおに、何度も言ってました。
 ちなみに、よく知られているように原題は「Little Blue and Little Yellow」で、あお「くん」ときいろ「ちゃん」と、性別を想起させるようにはなってません。絵本論では色々言われているのでしょうが、これはこれでよい訳し方ではないかなと思います。少なくとも「くん」と「くん」よりいいのは間違いなくて、「ちゃん」と「ちゃん」よりは…うーん、どうでしょか。でも「くん」と「ちゃん」の方が読みに幅ができるような気はします。
 さらにちなみに、訳者の藤田圭雄は、童謡研究の第一人者で、自身童謡作家でもあり、いくつかの絵本なども手がけていますが、さらにさかのぼると戦時中は中央公論社の編集者で、ちょうどこないだ東大の集中講義で取り上げたんですが、横山隆一たち新漫画派集団の漫画家たちによって描かれ、「指示要綱」以後の科学漫画のモデルとなった『科学漫画』全4巻(昭和13年10月、12月、中央公論社)の企画編集もこの人によるものです。
 藤田のほか、「指示要綱」以後の児童読物統制を理論的に主導した波多野完治や、内務省で児童読物統制を担当した佐伯郁郎らに、自分自身も文部省の児童図書推薦事業に関わっていた滑川道夫が、戦時期の仕事についてインタビューしている超重要書はこちら。
体験的児童文化史

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