宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

7月18日(火)「日本マンガ学会九州マンガ交流部会例会、アフター・“テヅカ・イズ・デッド”−マンガとマンガ論の現在−」(於・北九州市立大学)

 筑紫女学園大学の大城房美さんの熱意で、今年度から日本マンガ学会の新しい部会として九州マンガ交流部会ができたわけですが、ちょうどタイミングもいいし、伊藤さんを呼んで最初のイベントにしようということでこの企画を立てたのですが、中身はこれまた当日考えればいいや的なノリだったわけです。
 僕としては、オレと伊藤さんがゆるゆる好きなことしゃべれば、自然とそれが「マンガとマンガ論の現在」を語ることになっちゃうでしょ、みたいな傲慢なことを思ってたわけですが、実際はこの日も、伊藤さんが開始1時間半前くらいからめきめきプランを作ってくれて、昨日以上に、あ、こりゃオレは適当に相槌打ってりゃいいなという感じになったので、ほんとにほとんど伊藤さん任せで進行したのでした。
 伊藤さんは今、次の書き下ろし単行本のための準備を進めておられるところで、そこで取り上げられる予定のトピックを二つ語ってくれました。
 一つ目は、コマ構成の問題でした。専門学校で教えている経験や、コマ割りされた写真を使った広告などを例にあげながら、「同一化技法」の問題にも触れてくださいました。
 二つ目は、「キャラ」はどこまで行くと「キャラ」じゃなくなってしまうのか、という問題。これを、みうらじゅん命名によるところの「ゆるキャラ」を事例にすることで論じるというなかなか見事な展開でした。先日の「TVチャンピオン」での「ゆるキャラ王選手権」にも登場したゆるキャラたちはもちろんのこと、伊藤さん発掘のものも含めて、多種多様なゆるキャラを順にピックアップしつつ「もはやキャラとはいえないもの」と「キャラ」の両極の間に的確に位置づけていきます。聴衆を楽しませつつ、「キャラ/キャラクター」の問題に萌え系キャラとは違う角度から接近しつつ、ゆるキャラと萌えキャラの交差する領域も明らかにするなど、伊藤さんの議論の射程の長さを実感させてくれました。
 この日は天気が冴えず、どれくらい一般の方が参加してくださるか不安だったのですが、ウチの学生と部会メンバーを含め、50名収容の会場がほぼ満員になりました。僕の多忙で全く告知不足、しかも、天気の悪い平日の夜と、悪条件が重なったことを思えば、期待以上の盛況だったと思います。
 一応写真もあるんですが、カメラの設定をちゃんとしないで大城さんにお願いしてしまったので暗くなってしまったのでアップはしないことにします。
 こちらも参加された方がブログで感想を書いてくださってますので、どうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/u-sen/20060718
 終わった後は小倉で打ち上げだったわけですが、その後翌朝にかけて伊藤さんが体験することになるアメイジングな(笑)出来事については、伊藤さんのブログをどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20060727/1153941429
 いやー、僕の学校の事情での多忙と疲労で、大丈夫なのかこの二日間、と不安になっていたのですが、両日とも大変充実した時間を過ごすことができました。これはもう一重に伊藤さんの能力のおかげであります。あらためて感謝いたします。また鉱物採集のついでに来てください!今度はもちろん、小倉泊で(笑)。