宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

まずはライニガー

 短編3本と長編1本だったんですが、短編3本(「カルメン」、「パパゲーノ」、「ガラテア」。公式サイトに解説のある「眠れる森の美女」はやりませんでした)は、技術的には僕の知ってる影絵アニメーションとそれほど違いはなく、あーなるほどなるほどという感じでしたが、お話の内容がかなりアダルトな恋愛要素を含んでいて、やたらキスシーンが多かったりしました。
 ちなみに「アニメは子供のもの」という固定観念が出来上がったのは、多分日本では戦後のことで、大正から昭和初期にかけては、結構大人向けのアニメーションというのもあったわけですが、ドイツでも多分そうだったんじゃないかなと思いました。今日上映の3本も1933年から35年の作品でした。
 長編の「アクメッド王子の冒険」は、いい意味でかなり驚かされました。影絵のキャラクターを動かす切り紙アニメの手法は、短編3作と基本的に同じなのですが、背景にさまざまな特殊効果が用いられていて、これどうやって撮ったんだろうと思わされる映像が多かったです。もちろん、それが単なる視覚的なこけおどしではなく、ちゃんと物語の演出に効果的に貢献していて、なるほどこれを1926年(日本だと大正15年!)に作れてたってのはすごいなと思いました。短編3作は歴史的なものと思って見ないと多少退屈かもしれませんが、これに関してはアニメーションに興味のある人には十分新鮮なものではないでしょうか。
 お話もなかなか波乱万丈でしたが、結局アクメッド王子あんま強くないじゃん!ってかほとんど「魔女」のおかげじゃん!って感じはありました。それにしても「魔女」、めっさ男前でした。