宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

大変よかったです

のぞきからくりから始めて、立ち絵の紙芝居、そして平絵の街頭紙芝居の起こりへと入って、教育紙芝居や国策紙芝居に触れつつ、戦後の全盛期から衰退までを辿るオーソドックスな展示で、規模も1時間で回れる程度のものでしたが、押さえるべきポイントは全てきっちり押さえて、体系的でわかりやすい、非常によくまとまった展示でした。新潟に唯一現存するのぞきからくり舞台や、わずかしか残っていない立ち絵の舞台や紙人形、そして戦前の街頭紙芝居など、全国の所蔵元をほとんど網羅して、とにかく現物を集めて見せるという姿勢に、学芸員さんの丁寧な仕事ぶりがうかがえました。
たまたま学芸員さんによるフロアレクチャーの時間に行けたのもラッキーでした。途中、あとで実演されることになっていた鷲塚さんがお見えになって、当時どういう回り方をしていたかのお話が聞けたりしました。


そして何と言っても鷲塚さんの実演が素晴らしかった!
昭和31年に、紙芝居はもう先がないと見切りをつけて八百屋に転業されたそうですが、81歳とは思えない語りで、見事でした。
最初、紙芝居屋さんになった経緯や、ちゃんとウケるようになるまでのお話などもあったんですが、ほんとにこなれた浅草芸人さんのような下町口調の語り口で、具体性に富んだエピソードを語られていて、あー、この人はほんとに人気あっただろうなと思わせられましたし、実演に入るといっぺんに凄みのある芝居口調というか弁士口調というか、になるあたりも、おおっ、すげえ、モノホンだーと思いました。
今日の実演は当初の予定にはなかったもので、チラシや館のホームページには告知がなかったため、僕もたまたま見られただけなんですけど、いやー、よかったよかった。
TVKが取材に来てましたが、絶対鷲塚さんのドキュメントをどっかで作るべきですよ、と強く思った次第。紙芝居やる前は船乗りだったって辺りもそそられます。どっかでやってくれないかな。


というわけで、今は京橋のフィルムセンターでやってる大藤信郎展に移動中です。うっかり各駅停車に乗ったっぽいです。