宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

これは「○トロ」ではない

 今日は天気予報では台風の雲のせいで雨が降りやすいってことだったんですが、朝起きると雨はやんでて、時折晴れ間ものぞいてたんで、上の子と二人で家の近くにある市立の植物園へ。後からかあちゃんたちも追いかけてくるはずだったんですが、昼前に霧雨がやまなくなったので、下の子の風邪がまだ治りきってないこともあり、われわれだけで過ごすことに。
 しかしなにぶん植物好きの長男殿は、なかなか本格的な温室を中心にたっぷり堪能、しかも、今日は隣接してる動物園とともに植物園も無料デーで、ちびっ子木工教室などのイベントが用意されていたのでした。
 とんかちで釘を打ってていねいに紙やすりをかけて本棚を作り、園内で集められたどんぐりと作成キットで作るどんぐり細工も完成させ、大いに満足したのでした。
 が、どんぐり細工に関して、若干申し上げておきたいことが。
 これ、あらかじめ直径7、8センチの丸い台座に木の枝を立てて木に見立て、そこに顔を描いたどんぐりさんたちやミニミニ鳥の巣やミニミニお屋根を配して、木の周りにちょっとしたどんぐりさんたちのコミューンを作るわけですが、要するに、「○なりの○トロ」風の世界を作っちゃいなよってことなんですよ。出来上がりのサンプルを見ると、どんぐりさんたちの顔の描き方など、まぎれもなく小ト○ロで、黒い細いもじゃもじゃで作ったやつのことを、指導してるおじさんお姉さんたちは臆面もなく「まっ○ろ○ろすけ」と呼んでいるわけです。
 「どんぐり トト○」でネットで検索して見られると分かりますが、「たのしい授業」なんて雑誌で作成法が指導されてるらしく、ジ○リも公認なのか黙認なのかも知れません。
 で、それはいいんですよ。別に著作権の話がしたいわけではない。全くないんです。
 ウチの子は、むかーし一回「トトロ」を見せたら長くて飽きちゃったんで、それっきり見てないわけです。「パンダコパンダ」と同「雨ふりサーカス」は大好きで何度も何度も見てますが、「はい、これ、まっく○く○すけの体と目ね」とか言われても、はぁ何それ?なわけですよ。どんぐりと白ペンと黒ペン渡されても普通に目描いてにっこり口描いて終わりですよ。おなか白く塗って小○トロ風にする気なんかハナからないわけです。
 で、機嫌よくいろんなとこにどんぐりさんをボンドでくっつけて、ミニミニ鳥の巣を木のてっぺんに乗っけて、そこにどんぐりさん一人座らせて、その上にそおっとお屋根をかぶせたりしてたんですが、隣の子のキットには付いてた針金のブランコを、こっちの木の枝にもぶら下げたいってことになったので、僕が、近くにいた指導員のおじさんに、「あの、このブランコの針金もらえませんか?」と聞いたら、「あ?それはブランコのないセットなんだよ。その代わり鳥の巣があんでしょ?(←実際は福岡弁)」と言うので、あ、そうなのかと思って「これはブランコないやつなんだって」と説得しようとし始めた瞬間、その、自然のよさを子供たちに教えて何十年みたいな(いや、そら勝手な印象やけどね)オヤジが、いきなり「あーこの屋根はここじゃないよこれはメ○ちゃんの家だから地面の上、コレは鳥の巣だからト○ロじゃなくてこのちっちゃい卵を置くんだよ(←実際は福岡弁)」と言いながら、せっかくくっついたばかりを屋根を鳥の巣からはがし、気持ちよさそうにぴったり鳥の巣に納まってたどんぐりさん(断じてトト○ではない!)を無造作に下に下ろしやがったのでした。
 親子で一瞬呆気に取られた後、珍しく息子の方から「え?でも下に置いたらこのお屋根の下にはどんぐりさん入らないよ」と訴えると、そのエセエコオヤジは「いいんだよそれは○イちゃんの家なんだから。鳥の巣の上にこんなの乗ってるのおかしいやろ(←実際は福岡弁)」と言い捨ててその場を去って行きくさったのでした。
 何だとてめえメ○ちゃん○イちゃんて知ってて当然みたいに言いやがってウチのはそんなガキのことは知らねえんだ、どんぐりの顔の描き方見りゃ分かるだろってんだ、てかどんぐりも入らないような狭いとこにメ○だって入れるわけないだろっての、だいたいそんな板二枚合わせただけの屋根の家を○イが作るなんて話もともとねえだろ、木の上の鳥の巣だって別に関係ねえじゃねえか、きっちり設定合わせて作ってねえくせに、そんなに型どおりに作らせたいんなら、全員見えるとこに見本作って置いときやがれってんだウチの息子はお手本どおりに作れって言われたら完璧にやらないと気がすまないようなやつなんだっての、てかてめえ今ここに宮○駿がいたら殴り飛ばされてるぞ、ろくに作品の世界観も理解してねえくせに人んちのコドモが一生懸命作ったもんあっさりぶっこわしやがって、何様だこの教条主義エセエコ野郎、とまくし立てたいのはやまやまでしたが、横で号泣し始めた息子をなだめる方が先決だし、子供の前で親が先生(じゃないんだけどさ)を批判する構図を作るのはよくないしなってのもあり、いいよいいよ○○が作りたいようにしたらいいよおとうさんがてつだってなおしてあげるからと言ってたら、両隣の親子がこぞって今のはあんまりだ的な感じで「いいよね別に作りたいように作ればいいよ」「大丈夫だよ直せるよ」と一緒になだめにかかってくれたのでなんとか落ち着きを取り戻すことができたような次第。


 ほんとにねえ、冗談じゃないっすよ。


 自然に親しませるためにこういう機会を無料で用意してくれるのはほんとにありがたいですよ?おかげさまでなんとか当初の希望通りのものができあがってそれには大満足で帰ってきましたけども。
 だけど、自然に親しむ機会を与えるというその目的を達するために、コドモの自然な創意工夫を頭ごなしに否定して、勝手に全ての幼児が見てるに決まってると想定されたアニメの世界観、それも中途半端に理解されたそれを押し付けるなんてことが許されていいわけないでしょう?
 公立大学の教員、それもマンガ研究の専門家が、市がやってる無料のちょっとした自然体験イベントの一指導員をネット上で批判することの不平等性には慎重でありたいと思いますが、別に今日の指導員氏一人に謝ってほしいとか言うことではなく、このどんぐりで「トト○」を作る、というのが「教材」として普及しているのだとしたら、その「指導」に当たっている人には、やっぱり、それなりの配慮をしていただきたい、今日みたいなのは、やっぱり、ちょっとあんまりっすよと、言っておきたいと思うのであります。
 ちなみにこういうのですよ。



 別に全然これでいいじゃん。この屋根を地上に置いて、中には何も入れないほうが変だと思うんですけど。メ○に見立てる用に何かが用意されてるわけでもないんだしさ。



 コレ見りゃトト○にする気がないことくらい分かるだろって話ですよ。



 このまっく○く○すけ(じゃないしな、実際)の横のお屋根になってる葉っぱは、たまたま作業用のテーブルにあった落ち葉を、泣きやんだ息子が自分で見つけて、今日は暑いからこれ使ったらいいんじゃない?っつって立てたんですよ。この方が全然いいじゃんよ。全く、なめんなっつの。