宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

比較メディア文化=メディア文化概論第2回

 前回の終わりに、〈私〉を形づくるメディアにどんなものがあるでしょう、というのを出席票に書いてもらったんですが、やっぱり写真というのが多かったんで、今日は写真のお話。
 のつもりだったんですが、授業用に設けた、質問・感想を書き込んでもらうための掲示板に「言葉」とか「言語」って「メディア」ですか?という質問があり、あー、マクルーハンのメディア概念を簡単に紹介しただけだと、それは分からないよな、『メディア論』の各論の最初は「話される言葉」で次が「書かれた言葉」だし。と思い、「記号」と「メディア」の違いと関係について、石田英敬『メディアの知、記号の知』を援用しながら簡単に解説、するつもりが変に冗長な説明になってしまったりして、出だしはあんまりよくなかったです。
 今日の本題は、写真の話からではなく、これも掲示板への、「鏡」って〈私〉を形づくるメディアじゃないですか?という素晴らしい書き込みを受けて、ラカン鏡像段階論を、これはちゃんと簡潔に紹介しました。ええ、もちろんそんなことが可能なのは内田樹『寝ながら学べる構造主義』と斉藤環『生き延びるためのラカン』のおかげなんですが。
 その上で、鏡の次に大きな役割を果たしているのは写真でしょうけど、じゃあメディアとしての写真の特徴って何でしょうというのを出席票に書いてもらって、ちょっとマイクを振ってしゃべってもらった上で、初期写真のうち肖像写真をいくつかばばっと紹介しました。
 さらに、〈私〉と〈写真〉なら「私写真」だろってことでアラーキーの『さっちん』、さらに今の学生さん(特に女子学生さん)たちにもなじみのある写真の撮り方はこの辺からなんじゃ?ってことでヒロミックスの『Girls Blue』を、それぞれさささっとお見せしたのでした。
 んで、最後に、スーザン・ソンタグの『写真論』からみんなを刺激してくれそうなフレーズを断章的に引用したプリントを配り、成績評価対象となる課題の第1弾として、「①A4の用紙に、3点の写真を貼り付け、600字以内の書き言葉(手書きでもワープロ等でも可)を添えて、〈私〉を表現せよ。/②①の課題に取り組んでみての感想を、写真というメディアの特徴と関連付けながら述べよ(A4用紙を使うこと。1200字以上2000字以内)」というのを提示して、今日の授業はおしまい。連休をはさむのでどんな「回答」を作ってくれるか楽しみです。そこからまた1回分の授業のネタをいただこうと思っています。

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

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生き延びるためのラカン (木星叢書)

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とんぼの本 写真の歴史入門 第1部「誕生」新たな視覚のはじまり

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さっちん (フォト・ミュゼ)

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HIROMIX girls blue

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