宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

日本マンガ学会九州マンガ交流部会イベントのお知らせ

 7月の伊藤剛さんをお招きしてのイベントに続く、第2弾の予定が決まりました!今度は久留米です。これ、すごいですよ。
 何と、今年、貸本時代の作品の復刻版が出て再評価の機運が高まっている高橋真琴さんと、その再評価を中心的に担っている藤本由香里さんの公開対談です。

高橋真琴藤本由香里−少女マンガの源流をたずねて−」
 【会場】えーるピア久留米視聴覚ホール
 【日時】11月24日金曜日 18時30分より20時30分(18時開場)
 【参加費・資料代】予約500円(当日700円)
 【申し込み先】久留米市男女平等推進センター(電話、ファックス、メールいずれかの方法にて)
        Tel: 0942-30-7800
        Fax: 0942-30-7811
        E-mail: danjo-c(a)city.kurume.fukuoka.jp ←(a)をアットマークに換えてください。
 【主催】日本マンガ学会九州マンガ交流部会・久留米市男女平等推進センター
 【後援】西日本新聞社
部会責任者で今回の段取りをして下さった大城房美さんの力作チラシがダウンロードできます。
(チラシ表)
http://matsu.elpia.kurume.fukuoka.jp/d/Elpia/Elpia%20PDF/IBC0302200610112038490.pdf
(チラシ裏)
http://matsu.elpia.kurume.fukuoka.jp/d/Elpia/Elpia%20PDF/IBC0302200610112038521.pdf

 高橋真琴さんは、初期の少女マンガがその独自の様式を確立する上で、非常に大きな役割を果たしたとされてきた作家です。光文社の『少女』で連載された作品群は、題材としてのバレエ、星の入った大きな瞳、物語と関係なく挿入される全段ぶち抜きのスタイル画など、いかにも「少女マンガ」らしい要素にあふれており、それらのうちのいくつかは、高橋さんが最初に手がけたものと考えられてきました。
 とはいえ、彼の仕事のマンガ史的な位置づけを、本格的に検証する作業は、まだこれからの課題というべきで、今回、『少女』以前の、貸本時代の作品が復刻されたことで、この作家の全貌はまだまだ明らかになっていないことが分かってきました。
 チラシにも使われている、高度に様式化されたイラストの仕事が、なまじよく知られているだけに、初期の仕事を改めて掘り起こそうという機運が起こらなかったのかもしれませんが、今回復刻された2冊のうち、特に『さくら並木』における「おねえさま」と主人公の卓球(!)の場面など、その心理描写の濃密さといい、高度にデザイン化された画面といい、驚くべき水準のものがあります。『少女』誌上の仕事だけでは、この作家の凄さは全然分からないのだということに気付かされるのです。
 今回の対談では、自ら『少女』誌の初出に当たって、高橋さんの仕事の同時代のマンガ状況の中での意味を探っている藤本さんが、いろいろな角度から、今まで語られていなかった高橋真琴の顔に光を当ててくれると思います。いやー、こんなの、東京でもなかなかありえない企画ですよ。ぜひ、少しでも多くの方に参加していただきたいと思います!僕も今回は一聴衆として、興味津々で参加します!

少女ロマンス―高橋真琴の世界

少女ロマンス―高橋真琴の世界