宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

今回の研究会はちょっと特別編で、

 中村テーマさんが九大で非常勤講師として受け持っている留学生向けの日本文化のクラスで、日本のサブカルチャーやポピュラーカルチャーとメディアの関わりをテーマにしている学生さんたちの発表を、そのクラスのみんなと一緒に聞く、というものでした。
 発表者は4人で、参加者は全部で20人くらいかな。九大の留学生センターの先生なんかもいらしてましたし、留学生さんたちも欧米の人もアジアの人もいて、国際色豊かでした。
 研究会からは、僕と大城房美さんと稗島武さん金慈恵さん河浜秀明さんが参加でした。
 発表はもちろん全部英語で、学生さんたちも基本的に英語で質疑応答するのですが、悲しいかな僕の英語聞き取り用の脳神経は3割くらいが寸断されており、しゃべる方の脳神経にいたっては9割方壊滅していることが判明した初夏の夜なのでした。そんなわけで、聞く分には、一応話の流れは大体分かるものの、コメントが全然口に出てきてくれないので、大城さんやテーマさんに通訳してもらう始末で、申し訳ない限りでした。
 発表のテーマは、それぞれ、浮世絵における女性のイメージ、テレビCMにおけるジェンダー・イメージ、若い(というより低年齢の)女の子のイメージが愛好される日本の文化、マンガ・アニメなどにおける白人男性と日本人女性のイメージ、という感じでした。1人を除いてみんな学部生ですし、日本に来て数ヶ月で集められる資料と情報で組み立ててますから、いろいろ前提がおかしかったり、話が強引だったりはするんですが、20分の発表を論理的に構成する力はすごいなと思いました。「建設的な議論」なんて言い方がありますが、まさに、ちゃんと「建物」になってるんですよね、議論が。パワーポイントを上手に使ってるから余計そう見えるってとこもあるかもしれませんが。
 こういう人たちが、長期間日本に滞在して本気で資料集めて調査して論文書くってことをし始めたら、かなり状況変わるだろうなと思います。マンガやアニメの研究だって、どんどんやってもらいたいと思ってます。日本人が評価できないうちに外人に評価されちゃって…みたいなことを恥みたいに言う人もいますが、同じ問題を研究するもの同士は競争しているのではなく協働しているのですから、いろんな文化的背景を持った人による研究が増えること自体は、ちっとも悪くないと思います。