宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

そして25日の夜であります

茨木のすてきフレンチ(ビストロなのかな)で、国際児童文学館の小松聡子さん、土居安子さん、それから僕と同じく特別研究員で千葉大学で児童文学を講じておられる佐藤宗子さんとお食事。おいちかったです。
そうなんですよ。わたくし、この4月から来年3月まで大阪府立国際児童文学館の特別研究員というのにしていただいておるのです。今年度から始まったこの特別研究員制度、児童文学・児童文化の研究をしている人で、同館の資料を活かした研究のできる人を半年間(1年まで更新可)、2名ずつ採用し、一般利用者は入れない書庫に入り、冊数制限なしで資料を閲覧する権利を与えてくれるという夢のような制度であります。で、その特権でできた研究の成果を次年度に、館の紀要に論文で発表するか、館で展示・講演等を行うという形で還元する、という仕組みです。
僕のなかなか完成しない博士論文は、大正末から昭和戦前・戦中期の子供向け物語漫画がテーマなわけですが、これで博士論文が書けるという確信を得られたのは、たしか1996年に、この大阪国際児童文学館、それから東京都立日比谷図書館(今は都立多摩図書館に移りましたが)の資料と出会ったからなのです。「児童文学館」という名前ですが、「児童書・児童雑誌、およびそれに関する研究資料」は、ジャンル問わず収蔵されていますので、漫画本、漫画雑誌もあるわけです。以来10年近く、春休み・夏休み・冬休みにはお金と時間をやりくりしてやってきては、太陽の塔の背中を眺めながら戦前・戦中の漫画を読むというシュールにして至福と興奮の時間をすごしながら、研究をしてきて、今、書庫に「書庫に入りまーす」の一声で出入りできる日がやってきたことを思うと感慨もひとしおなのであります。書庫に入って、書庫特有のにおいを吸い込みながら、書棚を眺めていると、それだけで恍惚としてきて、ああもう研究なんかしないでとにかくここにずっといたいという気がしてきてしまうのであります。あかんやん。いや、ちゃんとやってますよ、研究。がんばって書庫から出て。