宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

面白いのです!!

 ということを新入生にまざまざと実感していただくための授業「日本の大衆文化論」(受講者はほとんど1年生)が今日始まりました。
 日本近代文学の馬場美佳先生を中心に、民俗学の重信幸彦先生と僕の3人、さらにお隣の人間関係学科から人類学の竹川大介先生にもサポートしてもらい、さらにそこに学外から特別講師を2人お招きするオムニバス講義ですが、普通のオムニバス講義と違って、馬場先生、重信先生、僕の3人はほぼ毎回教室に来て、ほかの先生の話に突っ込みを入れたりしようと。さらに受講者200人を超えようが何しようが、がんがん学生さんに参加してもらおうと。
 今日は1回目なんで、4人全員出席して、それぞれ自己紹介した後、学生さんに「あなたは自分が大衆だと思いますか?そしてその理由は?」とたずね、僕と竹川先生がマイクを持って階段教室を駆け回るというのをやりました。
 打ち合わせの時の共通意識として、もう「大衆文化論」という枠組みは耐用期限を切ろうとしているのではないか、少なくとも「大衆(文化)」という概念を自明のものとして、学生に何かを教え込むような授業は成り立たないだろうというのがありました。学生さんたちも「大衆」だの「大衆文化」だのいうコトバになじみはないだろう(多分「サブカルチャー」とか「ポップ」とかのコトバの方がなじみがあるだろう)というふうに思ったので、一体今の19歳、20歳の人たちが、「大衆(文化)」ってコトバにどういうイメージを持っているのかを聞いてから、こっちの話を組み立てようということにしたのでした。
 6人くらいの学生さんにいろいろツッコミながら話を聞いたんですが、意外とするっと「ある面では大衆だと思う」とか「他人から見ると大衆だと思う」と限定付きで大衆だと思うと答える人が多くて、ちょっと面白かったです。で、さらに、限定なしに普通に「大衆だと思う」と答えた人に、どういうとき「私って大衆だなあ」と思うか聞いたところ「天皇を見たとき」という答えが飛び出した時は、思わず講師一同ニンマリしてしまいました。
 あと、じゃあ「大衆文化」の具体例を一つ挙げてください、っていうのは順番にじゃんじゃん聞いてったんですが、こっちはごく普通に「ああそうだよね」的なものが挙がったので、さらに○○先生が「じゃあ〈大衆文化じゃないもの〉を挙げて」と言ったところ、みんなの顔に動揺の色が(笑)。これはいい質問で、みんな困りながら、いろいろひねり出してくれたんですが、いい感じに境界線上のものがいろいろ挙がりました。国会、宗教、歌舞伎、学校、法律、経済、趣味、等々。みんなが互いに「うーん、それってどうなんだ」という疑問が浮かび、なぜ「大衆文化でないもの」の具体例を挙げるのは難しいのかという疑問とともに1回目を終えたのでした。いや、この授業、マジ面白いよ。多分今日日本の大学で行なわれてた200人を超える授業の中では1、2を争う面白さだったと思うな。
 大変残念なことに今年わが学科はかなり深刻な志願者数減に見舞われたのですが、うちの大学もいったん視野に入れた上でよその大学に行った諸君、損したね。そして来年の受験生諸君、ぜひうちに来て下さい。大学のホームページはダメダメだけど、授業はいいのやってます!宣伝が下手なだけです!よろしく!