宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

今日「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展ワークショップであったこと

【今日はパパッと書きたかったので、いつもと違ってメインの部分は常体で書いてます】

 今日はゼミ生3人と東京都現代美術館でやってる「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展に行ってきた。PVも映画も多く手掛けるユニークな映像作家。展示の目玉は展示空間内のいくつもの撮影セットを使って、短編映画の撮影ができるワークショップ。土日祝日のみ、一日三回、各15名での実施。その日その時間に集まった見ず知らずの15人で、インストラクターに指導してもらいながら、みんなで話を考えて撮影して演技して編集して3時間以内に一本映画を作る。めっちゃやりたいじゃん。ツイッター見ても評判いいし、自分の元・学生も参加して楽しげな写真をフェイスブックに上げてたし。


http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/michelgondry.html


 問題は当然参加希望者が多数で、すでに希望の日時に参加できなかった人も多数いるらしいこと。ホームページを見ると、整理券はワークショップの各回の開始30分前から配布。一人2枚までもらえると。でもそうすると、仮に午前の部に並んだものの15名を超えてその回の整理券をもらえなかった場合、また昼の部の11時45分からの配布開始までそこで待ち続けるってこと?
 数日前に館に電話して問い合わせたところ、午前の部でもらえなかったらまた昼の部のために配布開始まで待ってもらう、先に整理券を渡すことはない、という。待ち時間長いのでその間に展示を見てもいいけど、次の配布待ちの列でまたあふれるかもしれないのでそこは自己責任で、みたいな返答。電話口の人相手にいろいろ言っても埒が開かなそうだったので、今日は開館30分前の9時半集合にして並んだんだが。
 すでに結構な人数の列ができていて、9時45分くらいから係員が出てきて、何人いて何枚整理券が必要か聞き始める。午前の部はあっという間に終わり、昼の部も、ちょうど俺の手前で15枚に到達。もらえるとしたら午後の部ということになったが、ゼミ生3人のうち二人は午後の部(14時から17時)だと参加できない。
 キャンセルが出たら繰り上がることはあるかと聞くと、ありうるけど今までにはその例はほとんどないと。整理券はあくまで今は配布してくれないのか、もらっといて無理になったら放棄するということはできないのか聞くと配布はできない、もらいたいならあくまで配布開始時間までメンバーの過半数は列に待機しておいてほしいという。朝の早くから並んだ人が、整理券を確保したかったら、各回の配布開始までメンバーの過半数は列に残れなんて話は電話でも聞いてない。
 どうしようか迷っていたら、手前の昼の部になった子連れのお母さんと俺の手前の男性二人組がこのシステムおかしいよねと話し出す。小学校低学年ぽい男女二人のお子さんを連れた家族、過半数残れと言われたら、待ち時間に交代で展示を見るとしても、家族半分ずつでしか見られない、ワークショップ参加じゃなくても展示空間で写真とかも撮れるのが楽しい展示なのに。お昼ご飯の時間にもなるのに家族半々で飯食いに行けと?
 そりゃそうだよねおかしいよと40代くらいの男性二人組も盛り上がる。嫌な感じのクレーマー体質な感じの人たちではなく、まともに冷静に話せそうな人たちだったので、俺も同調しておかしいですよねと言うと、二人組のうちの一人の外国人ぽい人が、これはちゃんと抗議しないとだめだよと。
 二人組の男性の一人と俺で改めて列整理の係員にどうしてこういうシステムなんだと聞くと、無関係の人に頼んで一人でごっそり整理券を確保してしまうリスクを避けるためだという。このワークショップの趣旨からしてそんなことしたがる人いるのか?もともとワークショップ自体は参加費無料でこの場に来て転売とかありえないし、そもそも無関係の人が通りがかるようなロケーションじゃないし(笑)とか、ツッコミどころだらけの理由を言う。
 各回の配布時間に来た人がその時にはもうとっくになくなってた場合クレームになるから列は作っておきたいってのも言ってたが、整理券配布制なら来るの遅ければもらえないってのはたいてい納得するだろう。もう会期終盤なんだし、館のホームページだけじゃなくこの展示だけのスタッフブログまで設けてるんだから、ワークショップは混んでるから早めに来てもらわないと整理券なくなりますって言っときゃいい話。
 二人組のうちの外人さんが落ち着いた口調で責任者を呼んでくださいと頼んだところ、10分くらいして責任者の女性がやってくる。やはり各回の整理券配布時間に来た人からの二次的なクレームが…と言う。
 だけど、今ここにきている人を強制的にリセットするわけじゃなくて、わざわざボードまで用意して、この人までは昼の部の整理券がもらえます、ここからは午後の部ですとかまで分かるようにして、要は早く来た人には普通に優先的に整理券は渡すわけで、遅く来た人からしたらそこに列があろうがなかろうがおんなじことではないか、なぜ過半数が列に残る必要があるのかというと、今整理券を渡して解散されると黙ってキャンセルされると混乱するし、渡さなければ誰に権利があるかわからなくなるからと言う。
 だったら紙に名前書いてもらって何なら身分証でも見せてもらっておいて、配布時間になったら戻ってきてもらって、名前書いてある人に整理券渡すじゃダメなのかというと、突然その責任者さんが、「それはいいご提案をいただきました!」と言い出し、早速そうさせていただきますといい、係員に記入用の紙を持ってこさせてあっさり解決。その場にいた人たちから拍手が起こり、みんな名前を記入していったん解散できることに。
 が、その結果、当然昼の部にキャンセルは出ず、俺らは午後の部しかもらえないことが確定。4人中2人しか参加できないなら、ということで俺ら自身は参加を断念。
 ただ、まっとうな主張をキレずに落ち着いて展開してシステムを変えさせたということで、まさに見ず知らずの人が一緒に何かを成し遂げるというこのワークショップの趣旨に沿ったことはできたというちょっとした達成感はあり。くだんの男性二人組とも、やりましたね、しかしここの人たちは回転寿司とかファミレスに行ったことはないんでしょうか、などと話してにこやかに握手をして別れたのだった(笑)。
 というわけで、もう残りほんとに数回ですが、ミシェル・ゴンドリー展のワークショップに参加されたい方は、午前の部や昼の部なら9時半までには行かないとまず無理だし午後の部でもそのくらいには行っとかないと整理券ゲットは難しいと思ってもらったらいいと思いますし、配布開始時間まで過半数残れとかまた言い出したら、12月23日は紙に書かせたらしいじゃないかと言ってもらえればと思います。
 で、我々自身は、午前の部のワークショップの撮影が始まる前に撮影セットエリア(ホームムービーファクトリー)で面白写真や動画を自分たちで撮影して、結構楽しみ、そしてよけい映画作りたかったなーってなったのでした。



 でも、その代わり時間は余ったので、お昼ご飯食べてからもう一つの企画展「新たな系譜学をもとめて」も見て、そちらの今日限定のパフォーマンス「ポストラップ」の最後の回の整理券は追加分をゲットすることができ、岡田利規×SOCCERBOYによる非常にかっこいいパフォーマンスとアフタートークを楽しむことができたのでした。ま、なんだかんだ結果オーライで充実した一日ではありました。映画は作りたかったけど。