宮本大人のミヤモメモ(続)

漫画史研究者の日常雑記。はてなダイアリーのサービス停止に伴いこちらに移転。はてなダイアリーでのエントリもそのまま残っています。

吉本隆明氏逝去

【17日に書いています】


 吉本隆明氏がお亡くなりになりました。享年87歳。天寿を全うされたのではないでしょうか。
 氏の逝去について、夏目房之介
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2012/03/post-8113.html 
 と渋谷陽一氏が
http://ro69.jp/blog/shibuya/65361/
 それぞれブログで触れています。
 夏目房之介渋谷陽一、それから大塚英志。この三人(以外にも枚挙にいとまないほどおられるわけですが)に多大な影響を与えているというだけでも、日本の大衆文化やサブカルチャーと呼ばれる領域に関心のある人にとって吉本隆明は無視できない存在だと思います。
 その文脈から吉本に関心を持った場合、彼が直接にマンガやアニメやロックを論じたものより、『言語にとって美とは何か』、『共同幻想論』、「日本のナショナリズム」などを読んだ方がいいと思います。
 と言っても、僕も『言語にとって美とは何か』は何度も読もうとして挫折してます。でも蓮實重彦の『表層批評宣言』で同書について触れられている部分を読んだとき、ああ、夏目房之介の表現論の原点はこれだなと思いました。なので、いずれまた挑戦したいです。
 あと、初期のいわゆる「二段階転向論」を含む転向をめぐるいくつかの論考は、自分にとって、戦前・戦中の子供向け物語漫画とそれをめぐる当時の知識人たちの発言を見る上での一つの重要な目安になっています。吉本隆明氏のご冥福をお祈りします。